「つ・ぬ」

要点確認
「つ・ぬ」の意味
完了〈~た・~てしまった〉
(例)そこに日を暮らしつ。〈そこで一日を過ごした。〉
強意きょうい〈きっと~・かならず~〉意味を強める。
(例)風も吹きぬべし。〈風もきっと吹くだろう。〉
「つ・ぬ」の活用
㈠「つ」の活用……下二段型
基本形未然形連用形終止形連体形已然形命令形
つててつつるつれてよ
㈡「ぬ」の活用……ナ変型
基本形未然形連用形終止形連体形已然形命令形
ぬなにぬぬるぬれね
「つ・ぬ」の接続
・「つ・ぬ」の接続……連用形接続
解説

「つ・ぬ」の意味

「つ」と「ぬ」は、どちらも完了の助動詞です。

(一)完了

完了は、動作・作用・状態が終わっていることを表し、〈~た・~てしまった〉と訳します。
国に立ち遅れたる人々待つとて、そこに日を暮らしつ。(更級)
〈国からの出発が遅れた人々を待つということで、そこで一日を過ごした。〉
秋は来きぬ紅葉は宿に降りしきぬ道ふみわけてとふ人はなし(古今)
〈秋が来た。紅葉は庭いっぱいに散ってしまった。道を踏み分けて訪ねてくる人は誰もいない。〉
「つ」と「ぬ」は、どちらも完了を表しますが、ニュアンスに違いがあります。
「つ」は、「ながめ暮らしつ」(もの思いにふけって暮らしてしまった。)というように、意志的な動作を完結させるという意味合いがあります。
それに対して、「ぬ」には、「日も暮れぬ」(日が暮れてしまう。)というように、人の意志によるのではなく自然にある状態が実現するという意味合いがあります。
「つ」と「ぬ」は、直後に過去の助動詞「き」「けり」が付いて「てき・てけり・にき・にけり」となることが多く、その場合、〈~てしまった〉と訳します。

(二)強意

「つ・ぬ」には意味を強める働きがあり、これを強意きょういといいます。
強意は、〈きっと~・かならず~・たしかに~〉などと訳します。
梓弓あづさゆみおしてはる雨さめ今日けふ降りぬ明日さへ降らば若菜わかな摘つみてむ(古今)
〈春雨が今日降った。明日も降れば、きっと若菜を摘めるだろう。〉
潮満ちぬ。風も吹きぬべし。(土佐)
〈潮が満ちた。風もきっと吹くだろう。〉
「つ・ぬ」が強意を表す場合、多くの場合に推量の助動詞「む・べし・らむ・けむ・まし・めり」などを伴います。直後に推量の助動詞があったら、「つ・ぬ」は強意であると考えましょう。
とくに、「てむ・つべし・なむ・ぬべし」の形は頻出です。
このような形の場合、右の例文のように〈きっと~だろう〉などと訳します。

「つ・ぬ」の活用

「つ」と「ぬ」は、それぞれ活用のしかたが違います。

(一)「つ」の活用

「つ」は、動詞の下二段活用と同じ活用をします(下二段型)。🔗動詞―下二段活用
〔表〕「つ」の活用表
基本形未然形連用形終止形連体形已然形命令形
つててつつるつれてよ

(一)「ぬ」の活用

「ぬ」は、動詞のナ行変格活用と同じ活用をします(ナ変型)。🔗動詞―ナ行変格活用
〔表〕「ぬ」の活用表
基本形未然形連用形終止形連体形已然形命令形
ぬなにぬぬるぬれね

「つ・ぬ」の接続

「つ・ぬ」は、どちらも活用語の連用形に付きます。