動詞―活用の種類の見分け方

要点確認
動詞の活用の種類の見分け方
㈠動詞を暗記する(カ・サ・ナ・ラ・上一・下一)
カ変動詞来く
サ変動詞す(為)・おはす
ナ変動詞死しぬ・往いぬ(去いぬ)
ラ変動詞あり・居をり・侍はべり・いますがり
上一段動詞着きる・似にる・煮にる・干ひる・見みる・射いる・鋳いる・居ゐる・率ゐる、など
下一段動詞蹴ける
㈡「ず」を付けて見分ける(四・上二・下二)
四段動詞ア段音(―a)になる。
(例) 書く+ず↓書か(ka)ず
上二段動詞イ段音(―i)になる。
(例) 起く+ず↓起き(ki)ず
下二段動詞エ段音(―e)になる。
(例) 受く+ず↓受け(ke)ず
活用の行の見分け方
本文の「🔗活用の行の見分け方」の節を参照。
解説

動詞の活用の種類の見分け方

動詞の活用の種類は全部で9種類あります。ここでは、それらの見分け方について考えていきましょう。🔗動詞―活用の種類
まず、ある活用の種類に属する動詞をそのまま暗記するグループと、「ず」を付けて見分けるグループとに大きく分けます。

(一)動詞を暗記する(カ・サ・ナ・ラ・上一・下一)

動詞の活用の種類のうち、カ変・サ変・ナ変・ラ変・上一段・下一段の6種類は、所属する語の数がかぎられています。
したがって、まずこれらの種類に所属する語をそのまま覚えてしまいましょう。
動詞を暗記するグループ
・カ変動詞……来く
・サ変動詞……す(為)・おはす
・ナ変動詞……死しぬ・往いぬ(去いぬ)
・ラ変動詞……あり・居をり・侍はべり・いますがり
・上一段動詞……着きる・似にる・煮にる・干ひる・見みる・
       射いる・鋳いる・居ゐる・率ゐる、など
・下一段動詞……蹴ける
動詞の中には、形がよく似ている紛らわしいものがあります。これらを混同しないように注意しましょう。
・「来く」(カ変)と「来きたる」(ラ行四段)
・「為す」(サ変)と「為なす」(サ行四段)
・「死しぬ」(ナ変)と「死しす」(「す」の複合語・サ変)
・「居をり」(ラ変)と「居ゐる」(ワ行上一段)
・「見みる」(マ行上一段)と「見みゆ」(ヤ行下二段)
・「用もちゐる」(ワ行上一段)と「用もちふ」(ハ行上二段)

(二)「ず」を付けて見分ける(四・上二・下二)

右以外の活用の種類、すなわち四段・上二段・下二段については、動詞に「ず」を付けた形(未然形)にして直前の音によって見分けます。(「ず」は、未然形に接続する助動詞です。🔗「ず」)
「ず」を付けて見分けるグループ
・四段動詞……ア段音(―a)になる。
(例)書く+ず↓書か(ka)ず
・上二段動詞……イ段音(―i)になる。
(例)起く+ず↓起き(ki)ず
・下二段動詞……エ段音(―e)になる。
(例)受く+ず↓受け(ke)ず
「ず」の直前の音をしらべる方法は、現代語の感覚からその語の未然形を類推るいすいする方法です。
したがって、現代語の感覚と活用がずれている語については、この方法は有効であるとはいえません。
たとえば、「滅ほろぶ」や「恨うらむ」は、現代語の感覚で「滅ばず」「恨まず」としてしまいそうですが、実は「滅びず」「恨みず」が正しい形です(どちらも上二段活用)。
また、「飽あく」や「震ふるふ」は、「飽きず」「震えず」とするのは間違いで、正しくは「飽かず」「震はず」になります(どちらも四段活用)。

活用の行の見分け方

動詞の活用の種類を答えるときは、活用の行を付け加えて「○行□□活用」とするのがマナーです。
そこで、活用の種類を見分けるついでに活用の行を見分ける方法も考えてみましょう。

(一)動詞を暗記するグループ

カ行変格活用・サ行変格活用・ナ行変格活用・ラ行変格活用は、そもそも名前に活用行を含んでいるので、そのまま答えます。
下一段活用は、「蹴(け)る」だけなので、カ行になります。
上一段活用については、活用形の音からどの行になるかを考えます。たとえば、「干(ひ)る」ならハ行になります
なお、「射(い)る・鋳(い)る」はヤ行、「居(ゐ)る・率(ゐ)る」はワ行になります。

(二)「ず」を付けて見分けるグループ

基本的には、「ず」を付けた形(未然形)の語尾の音からその行を考えるとよいのですが、同じ音でも活用行が複数考えられる場合があります。
①まず、「ず」の直前の音が「ワ」のとき(ア段音なので四段活用)、「は」(ハ行)と「わ」(ワ行)が考えられます。
しかし、四段活用にワ行はないので、必然的にハ行になります。
②「ず」の直前の音が「イ」のとき(イ段音なので上二段活用)、「い」(ア行またはヤ行)と「ひ」(ハ行)、「ゐ」(ワ行)が考えられます。
しかし、上二段活用にはア行とワ行はありません。「老おゆ・悔くゆ・報むくゆ」がヤ行で、ほかはハ行になります。
③「ず」の直前の音が「エ」のとき(エ段音なので下二段活用)、「え」(ア行またはヤ行)と「へ」(ハ行)、「ゑ」(ワ行)が考えられます。
まず、ア行下二段活用は、「得う・心得こころう」の2語だけです。
活用の種類を問わず、ア行で活用する動詞は「得・心得」の2語だけです。
また、ワ行下二段活用の動詞は、「植うう・飢うう・据すう」の3語だけです。
残りはハ行かヤ行ですが、終止形にして「―ふ」の形になる(「与ふ」など)ならハ行、「―ゆ」の形(「覚ゆ」など)ならヤ行です。
「ず」を付けて見分けるグループ
①「ず」の直前の音が「ワ」↓ハ行四段活用
②「ず」の直前の音が「イ」
・「老おゆ・悔くゆ・報むくゆ」↓ヤ行上二段活用
・その他↓ハ行上二段活用
③「ず」の直前の音が「エ」
・「得う・心得こころう」↓ア行下二段活用
・「植うう・飢うう・据すう」↓ワ行下二段活用
・終止形が「―ふ」(「与ふ」など)↓ハ行下二段活用
・終止形が「―ゆ」(「覚ゆ」など)↓ヤ行下二段活用