「まじ」

要点確認
「まじ」の意味
打消推量〈~ないだろう〉
(例)……こそ……劣るまじけれ……劣らないだろう
打消意志〈~ないつもりだ・~まい〉
(例)敵の手にはかかるまじ敵の手にはかからないつもりだ
不可能〈~(ことが)できない・~(ことが)できそうにない〉
(例)世にあるまじき心地のしければ……生きることができそうにない気持ちがしたので
打消当然・不適当〈~はずがない・~べきでない〉
(例)聞き知るまじく思ほえたれども聞いてわかるはずがないと思われたけれども
禁止〈~てはならない・~するな〉
(例)つかのまも忘るまじきなり。少しの間も忘れてはならないのである。
「まじ」の活用
まじ」の活用……形容詞(シク活用)型
基本形未然形連用形終止形連体形已然形命令形
まじ(まじく)まじくまじまじきまじけれ
まじからまじかりまじかる
「まじ」の接続
まじ」の接続……終止形接続(ラ変型活用語には連体形接続)
解説

「まじ」の意味

まじ」は、打消推量の助動詞です。
「まじ」の意味は、ちょうど推量の助動詞「べし」の意味を打ち消したものになります。

(一)打消推量

打消推量うちけしすいりょうは、否定的な推量であり、〈~ないだろう〉と訳します。
冬枯れの気色けしきこそ秋にはをさをさ劣るまじけれ。(徒然)
……なかなか劣らないだろう

(二)打消意志

打消意志うちけしいしは、否定的な意志であり、〈~ないつもりだ〉と訳します。
我が身は女なりとも、かたきの手にはかかるまじ。(平家)
……敵の手にはかからないつもりだ

(三)不可能

不可能は、〈~ことができない・できそうにない〉と訳します。
この女見では世にあるまじき心地のしければ(竹取)
……生きることができそうにない気持ちがしたので

(四)打消当然・不適当

打消当然うちけしとうぜん・不適当は、〈~はずがない・~べきでない〉と訳します。
かの国人、聞き知るまじくおもほえたれども(土佐)
……聞いてわかるはずがないと思われたけれども
というものこそ、をのこの持つまじきものなれ。(徒然)
……男が持つべきでないものである。

(五)禁止

禁止は、〈~てはならない〉と訳します。
つかのまも忘るまじきなり。(徒然)
少しの間も忘れてはならないのである。

「まじ」の活用

「まじ」は、形容詞のシク活用と同じ活用をします(形容詞シク活用型)。
〔表〕「まじ」の活用表
基本形未然形連用形終止形連体形已然形命令形
まじ(まじく)まじくまじまじきまじけれ
まじからまじかりまじかる

「まじ」の接続

「まじ」は、活用語の終止形に付きます。
ただし、ラ変型活用語に付く場合は、その終止形ではなく、連体形に付きます。
ラ変型活用語とは、ラ変動詞、形容詞、形容動詞、ラ変型の助動詞をまとめた言い方です。