「べし」
要点確認
「べし」の意味
推量〈(きっと)~だろう・~にちがいない〉
(例)劣らざるべし。〈(きっと)劣らないだろう。〉
意志〈~う・~よう・~つもりだ〉
(例)この一矢に定むべしと思へ。〈この一本の矢で決めようと思え。〉
可能〈~ことができる〉
(例)渡るべからず。〈渡ることができない。〉
当然〈~はずだ・~べきだ〉
(例)子となり給ふべき人なめり。〈(私の)子となりなさるはずの人であるようだ。〉
命令〈~せよ〉
(例)わが墓の前に懸くべし。〈私の墓の前に供えよ。〉
適当〈~のがよい〉
(例)夏をむねとすべし。〈夏を主とするのがよい。〉
「べし」の活用
・「べし」の活用……形容詞(ク活用)型
| 基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| べし | (べく) | べく | べし | べき | べけれ | ○ |
| べから | べかり | べかる |
「べし」の接続
・「べし」の接続……終止形接続(ラ変型活用語には連体形接続)
解説
「べし」の意味
「べし」は、推量の助動詞です。
「べし」の意味は、「む」の意味を強めたもので、ふつう次のようなものが挙げられます。
(一)推量
「べし」の推量は、「む」よりも強い(確信をもった)推量で、〈(きっと)~だろう・~にちがいない〉と訳します。
この人々の深き志は、この海にも劣らざるべし。(土佐)
〈……この海(の深さ)にも(きっと)劣らないだろう。〉
(二)意志
「べし」は、「む」よりも強い意志(決意)を表し、〈~う・~よう・~つもりだ〉と訳します。
毎度ただ得失なく、この一矢に定むべしと思へ。(徒然)
〈……この一本の矢で(成功を)決めようと思え。〉
(三)可能
可能は、〈~ことができる〉と訳します。
可能の「べし」は、打消の語をよくともないます。
竜に乗らずは、渡るべからず。(今昔)
〈竜に乗らなければ、渡ることができない。〉
(四)当然
当然は、〈~はずだ・~べきだ・~なければならない〉と訳します。
子となり給ふべき人なめり。(竹取)
〈(私の)子となりなさるはずの人であるようだ。〉
(五)命令
命令は、〈~せよ・~なさい〉と訳します。
頼朝が首をはねて、わが墓の前に懸くべし。(平家)
〈頼朝の首をはねて、私の墓の前に供えよ。〉
命令の「べし」が打消の語をともなうときは、禁止〈~てはならない〉の意味になります。
されば、道人は、遠く日月を惜しむべからず。(徒然)
〈……漠然と年月(という長さで時間)を惜しんではならない。〉
(六)適当
適当は、〈~のがよい〉と訳します。
家の造りやうは、夏をむねとすべし。(徒然)
〈家の造りは、夏(に住むこと)を主とするのがよい。〉
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