形容詞―語幹の用法

要点確認
形容詞の語幹の用法
《あな(あら)+形容詞語幹(+や)》
感動〈ああ~だなあ(なことよ)〉
(例)あな心憂こころうああ、つらいなあ。
あな、いみじやああ、たいへんなことだ。
《名詞(+を)+形容詞語幹+み》
原因・理由〈(名詞)が~なので〉
(例)瀬を早み岩にせかるる……瀬の流れが速いので……
野をなつかしみ一夜ひとよ寝にける野が心引かれるので……
《形容詞語幹+の+名詞》
連体修飾語〈~な(名詞)〉
(例)あな、にくの男や。ああ、いやな男だ。
をかしの御髪みぐしや。きれいな御髪だなあ。
解説

形容詞の語幹の用法

単語が活用するときに変化しない部分を語幹ごかんといいます(例、「高し」の「高」)。
形容詞(ク活用)の語幹には、次のような特殊な用法があります。

(一)感動

〔あな(あら)+形容詞の語幹(+や)〕の形で、〈ああ、~だなあ(なことよ)〉の意味を表します。
あな心憂こころうああ、つらいなあ。
あらたふと青葉若葉の日の光
ああ尊いことよ――
※「心憂」「たふと」は、それぞれ「心憂し」「たふとし」の語幹。

(二)原因・理由

〔名詞(+を)+形容詞語幹+み〕の形で、〈(名詞)が~なので〉と訳します。
この用法は、和歌で使われます。「を」が省略されることがあるので注意しましょう。
瀬をはや岩にせかるる滝川のわれても末にはむとぞ思ふ
瀬の流れが速いので――
春とも知らぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水
山が深いので――
※「はや」「深」は、それぞれ「はやい」「深い」の語幹。

(三)連体修飾語

〔形容詞語幹+の+名詞〕の形で、〈~な(名詞)〉の意味を表す。
あな、にくの男や。
ああ、いやな男だ。
※「にく」は「にくし」の語幹。
以上の用法は、シク活用の場合、語幹ではなく終止形が使われます。
あな、いみじああ、たいへんなことだ。
春の野にすみれみにとし我そ野をなつかし一夜ひとよ寝にける (万葉)
けづることをうるさがり給へど、をかし御髪みぐしや。(源氏)
……きれいな御髪だなあ。
最初
最後尾
〔表〕図表タイトル