■ 「なむ」の識別法
「なむ」の直前の活用形に注目する。
① 直前が未然形なら、終助詞
(例) 例文jisage
② 直前が連用形なら、完了の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「む」
(例) 例文jisage
③ 直前が未然形・連用形以外なら、係助詞
(例) 例文jisage
④ 直前が「死・往(去)」なら、ナ変動詞「死ぬ・往(去)ぬ」の未然形活用語尾+推量の助動詞「む」
(例) 例文jisage
■ 「なむ」の識別法
「なむ」の直前の活用形に注目する。
① 直前が未然形なら、終助詞
(例) 例文jisage
② 直前が連用形なら、完了の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「む」
(例) 例文jisage
③ 直前が未然形・連用形以外なら、係助詞
(例) 例文jisage
④ 直前が「死・往(去)」なら、ナ変動詞「死ぬ・往(去)ぬ」の未然形活用語尾+推量の助動詞「む」
(例) 例文jisage
文中の「なむ」を文法的に説明すると、次のいずれかになる。
① 終助詞「なむ」
② 完了の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「む」
③ 係助詞「なむ」
④ ナ変動詞「死ぬ・往ぬ」の未然形活用語尾+推量の助動詞「む」
上の①から③までは、それぞれ直前の語の活用形が違う。
だから、「なむ」の識別のポイントは、直前の語の活用形に注目することだ。
(1) 「なむ」の直前が未然形なら《終助詞》
直前が未然形であるときの「なむ」は終助詞と考えよう。この「なむ」は、願望の意味で、<~てほしい>と訳す。➡終助詞
「惟光とく参らなむ」とおぼす。(源氏)
<「惟光が早く参上してほしい」とお思いになる。>
上の例文で、「参ら」はラ行四段活用の動詞「参る」の未然形だ。したがって、それに付く「なむ」は《終助詞》であるとわかる。
(2) 「なむ」の直前が連用形なら《完了+推量》
次に、完了の助動詞「ぬ」は連用形につく。だから、直前が連用形であるときの「なむ(なん)」は、②完了の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「む(ん)」と考える。
いざ桜散らば散りなむひとさかりあり経ば人に憂き目見えなむ (伊勢)
<さあ桜よ、散るなら散ってしまうがよい…人につらい姿をきっと見られるだろう>
上の例文で、「散り」はラ行四段動詞「散る」の連用形、「見え」はヤ行下二段動詞「見ゆ」の連用形だ。したがって、それらに付く「なむ」は《完了+推量》であるとわかる。
(3) 「なむ」の直前が未然形・連用形以外なら《係助詞》
「なむ」の直前が未然形でも連用形でもないとき、すなわち、体言や連体形・副詞・助詞などの場合、その「なむ」は③係助詞である。
係助詞「なむ」は強意の意味だが、とくに訳す必要はない。
その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。(竹取)
<…根本が光る竹が一本あった。>
名をば、さぬきのみやつことなむいひける。(竹取)
<名を、さぬきのみやつことといった。>
上の例文で、「心」は体言、「と」は助詞である。したがって、それらに付く「なむ」は係助詞であるとわかる。
文中に係助詞の「なむ」があるときは、係り結びによって文末が連体形になる。これも、係助詞「なむ」を見分けるための重要な手がかりになる。
ただし、結びが省略されたり、流れたりすることもあるから注意しよう。
例外として、連用形の語に係助詞「なむ」が付くことがある。
・世にぬけ出でぬる人の御あたりは、ところせきこと多くなむ。(源氏)
……形容詞の連用形「~く」+係助詞「なむ」
・うしろめたくあはれになむおぼえたまふ。(源氏)
……形容動詞の連用形「~に」+係助詞「なむ」
・さらにものも申さずなむ。(宇津保)
……打消の助動詞「ず」の連用形+係助詞「なむ」
(4) 直前が「死(し)・往(い)」なら《ナ変動詞+推量》
「死なむ」「往(去)なむ」の形は、ナ変動詞「死ぬ」「往(去)ぬ」の未然形に推量の助動詞「む」が付いたものだ。
したがって、「なむ」の直前が「死・し」または「往・去・い」なら、④ナ変動詞+推量の助動詞であると簡単に考えよう。
願はくは花のしたにて春死なむそのきさらぎの望月のころ (新古今)
<どうか桜の花の下で春に死にたい…>
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