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形容詞(2)語幹の用法

要点のまとめ

■ 形容詞の語幹の用法

● ク活用の語幹の用法

(1) 感動

「あな(あら)+形容詞語幹(+や)」<ああ~だなあ(なことよ)>

(例) あな心憂こころうや。<ああ、つらいなあ。>

(2) 原因・理由

「名詞(+を)+形容詞語幹+み」<(名詞)が~なので>

(例) 瀬を早み岩にせかるる…… <瀬の流れが速いので――>

(3) 連体修飾語

「形容詞語幹+の+名詞」<~な(名詞)>

(例) あな、にくの男や。<ああ、いやな男だ。>

● シク活用では、語幹ではなく終止形が入る。

(例) あな、いみじや。<ああ、たいへんなことだ。>

(例) 野をなつかしみ一夜ひとよ寝にける <野が心引かれるので――>

(例) をかしの御髪みぐしや。<きれいな御髪だなあ。>

解説

形容詞の語幹の用法

単語が活用するときに変化しない部分を語幹ごかんという(例、「高し」の「高」)。

形容詞ク活用の語幹には、以下のような特殊な用法がある。

(1) 感動

「あな(あら)+形容詞の語幹(+や)」の形で、<ああ、~だなあ(なことよ)>の意味を表す。

あな心憂こころうや。

<ああ、つらいなあ。>

あらたふと青葉若葉の日の光

<ああ尊いことよ――>

※「心憂」「たふと」は、それぞれ「心憂し」「たふとし」の語幹。

古文単語

・「心憂こころうし」(形ク)=つらく思われる

・「たふとし」(形ク)=尊い、高貴だ

(2) 原因・理由

「名詞(+を)+形容詞語幹+み」の形で、<(名詞)が~なので>と訳す。

この用法は、和歌で使われる。「を」が省略されることがあるので注意しよう。

瀬せを早み岩にせかるる……

<瀬の流れが速いので――>

山深み春とも知らぬ……

<山が深いので――。> 

※「早」「深」は、それぞれ「早い」「深い」の語幹。

(3) 連体修飾語

「形容詞語幹+の+名詞」の形で、<~な(名詞)>の意味を表す。

あな、にくの男や。

<ああ、いやな男だ。>

※「にく」は「にくし」の語幹。

古文単語

・「にくし」(形ク)=気に入らない、いやだ/見苦しい

*

以上の用法は、シク活用では語幹ではなく終止形が使われる。

あな、いみじや。(源氏)

<ああ、たいへんなことだ。>

春の野にすみれ摘つみにと来こし我そ野をなつかしみ一夜ひとよ寝にける(万葉)

<――野が心引かれるので――>

けづることをうるさがり給へど、をかしの御髪みぐしや。(源氏)

<きれいな御髪だなあ。>

古文単語

・「いみじ」(形シク)=並々でない

・「なつかし」(形シク)=心がひかれる

・「をかし」(形シク)=趣深い

練習問題

問題

次の文の下線部を現代語に訳しなさい。

空寒み花にまがへて散る雪にすこし春ある心地こそすれ (枕草子)

【ヒント】

「名詞(+を)+形容詞語幹+み」で、<(名詞)が~なので>の意味になります。

和歌では字数を合わせるために「を」が省略されることが多くあります。

解答

空が寒いので

コメント

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コメント: 3
  • #1

    神 (水曜日, 18 5月 2022 07:25)

    まじで神サイト

  • #2

    ・ω・ (木曜日, 30 6月 2022 20:49)

    テスト1週間前でようやく理解できたぁ!!

  • #3

    もやし (土曜日, 13 5月 2023 16:10)

    なんと分かりやすい…
    このサイトを使ったからにはテスト10点アップさせます!

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