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形容動詞―ナリ活用とタリ活用

要点のまとめ

■ 形容動詞の活用

形容動詞の活用には、ナリ活用とタリ活用の2種類がある。

  未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
ナリ活用 なら なり
に
なり なる なれ なれ
タリ活用 たら たり
と
たり たる たれ たれ

■ 形容動詞と「名詞+なり」との見分け方

「~なり」の前に「いと」を付けて意味が通れば形容動詞、通らなければ「名詞+なり」。

解説

1 形容動詞の活用

形容動詞の活用のしかたには、ナリ活用とタリ活用の2種類があります。

形容動詞「あはれなり」の活用を見てみましょう。

あはれならず (未然形)

あはれなりき (連用形)

あはれになる (連用形)

あはれなり。 (終止形)

あはれなるべし(連体形)

あはれなれども(已然形)

あはれなれ。 (命令形)

〔太字=語幹、赤字=活用語尾〕

次に、形容動詞「堂々たり」の活用を見てみましょう。

堂々たらず (未然形)

堂々たりき (連用形)

堂々となる (連用形)

堂々たり。 (終止形)

堂々たるべし(連体形)

堂々たれども(已然形)

堂々たれ。 (命令形)

〔太字=語幹、赤字=活用語尾〕

「あはれなり」のような形容動詞の活用のしかたをナリ活用といい、「堂々たり」のような形容動詞の活用のしかたをタリ活用といいます。

「あはれなり」「堂々たり」の活用表を示しておきます。

【表】形容動詞の活用表

横にスクロール➡

基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
あはれなり あはれ なら なり
に
なり なる なれ なれ
堂々たり 堂々 たら たり
と
たり たる たれ たれ
用法

―バ

―ズ

―キ
―ナル

言い切る

―トキ

―ベシ

―ドモ

命令して

言い切る

アドバイス

形容動詞は、連用形の「に」「と」を除いて、ラ変動詞と同じ活用をします(ラ変型活用)。

これは、形容動詞の活用語尾「なり」「たり」は、それぞれ「にあり」「とあり」が変化した形であると考えられるからです。(「あり」はラ変動詞)

古文単語

・「あはれなり」(形動ナリ)=しみじみと心動かされる

2 形容動詞と「名詞+なり」との見分け方

「~なり」という形には、形容動詞のほかに、名詞に助動詞「なり」が付いた形もあります。

それらを見分けるためには、「~なり」の前に副詞「いと」を付けます。

「いと」を付けて意味が通るようであれば形容動詞、通らないのであれば「名詞+なり」です。

形容動詞と「名詞+なり」の見分け方

「~なり」の前に「いと」を付けて意味が通るかどうかで判別する。

(例)あはれなり→「いとあはれなり」で意味が通るので形容動詞

(例)人なり→「いと人なり」では意味が通らないので「名詞+なり」

練習問題

問題

次の下線部の形容動詞の活用形を答えなさい。

(1) つれづれなるままに、日暮らし……。

(2) やうやう豊かになりゆく。

(3) 舟も出いださで、いたづらなれば……。

(4) 飛びいそぐさへあはれなり。

【ヒント】

本文の活用表を参照してください。

なお、下線部の形容動詞は、すべてナリ活用です。

タリ活用の形容動詞は、中世(鎌倉時代)以降使われるようになったもので、あまり重要ではありません。

古文単語

・「つれづれなり」(形動ナリ)=手持ちぶさたである

・「やうやう」(副)=だんだん

・「いたずらなり」(形動ナリ)=無駄である、むなしい

解答

(1) 連体形

(2) 連用形

(3) 已然形

(4) 終止形

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