古典文法
  • ホーム
  • 文法の基礎
  • 用言
  • 助動詞
  • 助詞
  • 識別
  • 敬語

ホーム > 用言 > 動詞(3)上二段活用

動詞(3)上二段活用

要点のまとめ

■ 上二段活用とは

上二段かみにだん活用……活用語尾がイ・ウ段の音(i・u)に変化。

未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
-i -i -u -uる -uれ -iよ

(語例)「起おく」「過すぐ」「恋こふ」「老おゆ」

■ 上二段活用の見分け方

上二段活用の動詞は、「ず」を付けると直前がイ段音(-i)になる。

(例)「起く」+「ず」→「起き(ki)ず」

解説

1 上二段活用とは

上二段かみにだん活用とは、活用語尾が五十音図のイ・ウ段の音(i・u)で変化するような動詞の活用のしかたをいう。

例として、「起おく」の活用を見てみよう。

起きず   (未然形)

起きたり  (連用形)

起く。   (終止形)

起くるとき (連体形)

起くれども (已然形)

起きよ。  (命令形)

〔太字=語幹、赤字=活用語尾〕

上二段活用

「起く」の活用語尾に注目してみると、

き(ki)=イ段音

き(ki)=イ段音

く(ku)=ウ段音

くる(kuる)=ウ段音

くれ(kuれ)=ウ段音

きよ(kiよ)=イ段音

というように、カ行の二つの段にわたって活用していることがわかる。

つまり、「起く」は、カ行﹅﹅上二段活用の動詞である。

五十音図の中央のウ段とその上﹅のイ段との二﹅つの段﹅で活用するので、「上二段」活用という。

活用の種類を問われたときは、活用の種類の名前(「上二段活用」)だけでなく、活用の行もつけて(「〇行上二段活用」)答えるようにしよう。

*

上二段活用の動詞の活用表を、各行ごとに一つずつ例を挙げて示しておこう。

【表】上二段動詞の活用表

横にスクロール➡

行 例語 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
カ 起おく 起 き き く くる くれ きよ
ガ 過すぐ 過 ぎ ぎ ぐ ぐる ぐれ ぎよ
タ 落おつ 落 ち ち つ つる つれ ちよ
ダ 恥はづ 恥 ぢ ぢ づ づる づれ ぢよ
ハ 恋こふ 恋 ひ ひ ふ ふる ふれ ひよ
バ 侘わぶ 侘 び び ぶ ぶる ぶれ びよ
マ 恨うらむ 恨 み み む むる むれ みよ
ヤ 老おゆ 老 い い ゆ ゆる ゆれ いよ
ラ 懲こる 懲 り り る るる るれ りよ
用法 ズ タリ

言い切る

トキ ドモ

命令して

言い切る

古文単語

・「恋こふ」(ハ上二)=(人や場所・過去などを)思い慕う

・「侘わぶ」(バ上二)= 思い悩む/落ちぶれる

・「懲こる」(ラ上二)= 懲りる

もっと知る

現代語に上二段活用はない。古語の上二段活用の多くは、現代語では上一段活用になる。

たとえば、「起く」の現代語「起きる」は、(カ行)上一段活用の動詞である。

ただし、「恨む」のように、現代語では五段活用になるものもある。

2 上二段活用の見分け方

ある動詞が上二段活用かどうかを見分けるためには、その動詞に「ず」を付けて未然形にするとよい。(「ず」は未然形に接続する助動詞である。➡「ず」)

「ず」の直前がイ段音(-i)になるのであれば、その動詞は上二段活用である。

たとえば、「起く」に「ず」を付けると、「起き﹅(ki)ず」になる。

「ず」の直前がイ段音になるので、「起く」は上二段活用の動詞であるとわかる。

アドバイス

この方法で「ず」の直前の音が「イ」の場合、その活用の行(かなづかい)に注意しよう。

活用行がヤ行となるもの、つまり、「い」と表記するのは、「老おゆ」「悔くゆ」「報むくゆ」の3語だけである(ヤ行上二段活用)。

それ以外は、活用行がハ行、つまり、「ひ」と表記する。「恋こふ」「生おふ」「強しふ」など(ハ行上二段活用)。

練習問題

問題

次の中から上二段活用の動詞でないものを選んで、記号で答えなさい。

①過ぐ ②思ふ ③恨む ④悔ゆ

【ヒント】

それぞれの動詞に「ず」を付けて、直前の音をしらべてみよう。上二段活用の動詞であれば、「ず」の直前がイ段音(-i)になる。

「過ぐ」+「ず」→「過ぎ(gi)ず」(ガ行上二段)

「思おもふ」+「ず」→「思は(wa)ず」(ハ行四段)

「恨む」+「ず」→「恨み(mi)ず」(マ行上二段)

「悔ゆ」+「ず」→「悔い(i)ず」(ヤ行上二段)

「恨む」は、間違えて「恨ま﹅ず」としやすいので注意しよう。

解答

②

コメント

コメント投稿に関する注意事項

コメントをお書きください

コメント: 16
  • #1

    中堅高校の一般学生 (火曜日, 11 5月 2021 07:20)

    要点がまとまっていてとても分かりやすかったです。感謝

  • #2

    海城中学生徒 (金曜日, 31 12月 2021 21:30)

    このようなサイトを作って頂き感謝。本当に有難う御座います

  • #3

    MUR (月曜日, 14 3月 2022 15:52)

    このサイトわかりやすいよなぁ?

  • #4

    社会人 (日曜日, 10 4月 2022 23:24)

    図表がシンプルでどっちでもわかりやすいです。
    出典を示した短文練習問題(源氏物語や更級日記,伊勢物語など)あらばなお嬉し
    m(_ _)m

  • #5

    高校生 (金曜日, 06 5月 2022 22:58)

    とても勉強の役に立ちました。
    ありがとうございます。

  • #6

    そー (水曜日, 18 5月 2022 08:01)

    わかりやすかった

  • #7

    京女生 (土曜日, 28 5月 2022 12:03)

    動詞の語尾も主なものでいいのでかいてほしいです…

  • #8

    高校4年生 (水曜日, 01 6月 2022 19:39)

    ありがトゥース‼︎

  • #9

    tgyh (土曜日, 01 10月 2022 22:45)

    ありがとう

  • #10

    なな (水曜日, 30 11月 2022 16:04)

    とてもわかりやすいです!ありがとうございます!

  • #11

    日本語学習者の外国人 (金曜日, 09 6月 2023 11:32)

    古典文法からの用法、現在の日本語にもたくさん残っています。そういうことを勉強しないと、日本語が話せても、語源などはよくわかるわけがありません。このウェブサイトには古典文法がより簡単な言語で説明されていて、僕のような外国人学習者にとっても、とても役に立ちます!

  • #12

    ニーナ (金曜日, 06 10月 2023 11:13)

    イマイチわからなかったんで助かりました

  • #13

    蒼田飯総郎(あをた・いさを) (月曜日, 30 10月 2023 17:09)

    非常に判りやすいと思います。

    但し、上二段活用の動詞は、現代語に引き継がれたような単語と、引き継がれないような単語とが有りますよネ!!!

    現代語に引き継がれたような単語では、ゴク一部が五段活用に、大部分は上一段活用に変わるのが原則ですよネ!!!

    上一段活用に変わりやすい上二段活用動詞の方が圧倒的に多い事こそ事実ですが、どの上二段活用動詞が五段活用に変わったのか、もう少しハッキリ説明した方が良さそうな気がします。五段活用に変わるような場合には、基本的には終止形が保持されて基準に成りますよネ!!!

    例えば、マ行上二段動詞「恨む」とか、ガ行上二段動詞「凪ぐ」とかが、現代語では五段活用で引き継がれますよネ!!!

    現代語の五段活用動詞の中には、古代語では上二段活用していたような動詞も比較的、多いようですよネ!!!

  • #14

    底辺 (日曜日, 13 10月 2024 17:18)

    無料で見れるの凄い

  • #15

    慶應義塾高校生徒 (水曜日, 13 11月 2024 18:24)

    わかりやすくて感謝

  • #16

    栄東中学生徒 (金曜日, 13 6月 2025 07:00)

    とてもわかりやすいです

  • 動詞(1)活用の種類
  • 動詞(2)四段活用
  • 動詞(3)上二段活用
  • 動詞(4)下二段活用
  • 動詞(5)上一段活用
  • 動詞(6)下一段活用
  • 動詞(7)カ行変格活用
  • 動詞(8)サ行変格活用
  • 動詞(9)ナ行変格活用
  • 動詞(10)ラ行変格活用
  • 動詞(11)活用の種類の見分け方
  • 形容詞(1)ク活用とシク活用
  • 形容詞(2)語幹の用法
  • 形容動詞―ナリ活用とタリ活用
サイトマップ
ログアウト | 編集
  • ホーム
    • コメント投稿に関する注意事項
  • 文法の基礎
    • 歴史的仮名遣い
    • 言葉の単位・文節相互の関係
    • 単語の分類と品詞
    • 語の活用と活用形
  • 用言
    • 動詞(1)活用の種類
    • 動詞(2)四段活用
    • 動詞(3)上二段活用
    • 動詞(4)下二段活用
    • 動詞(5)上一段活用
    • 動詞(6)下一段活用
    • 動詞(7)カ行変格活用
    • 動詞(8)サ行変格活用
    • 動詞(9)ナ行変格活用
    • 動詞(10)ラ行変格活用
    • 動詞(11)活用の種類の見分け方
    • 形容詞(1)ク活用とシク活用
    • 形容詞(2)語幹の用法
    • 形容動詞―ナリ活用とタリ活用
  • 助動詞
    • 助動詞の分類
    • 「き・けり」
    • 「つ・ぬ」
    • 「たり・り」
    • 「る・らる」
    • 「す・さす・しむ」
    • 「む・むず」
    • 「らむ」
    • 「けむ」
    • 「べし」
    • 「まし」
    • 「らし」
    • 「めり」
    • 「なり(伝聞・推定)」
    • 「ず」
    • 「じ」
    • 「まじ」
    • 「なり・たり(断定)」
    • 「まほし・たし」
    • 「ごとし」
  • 助詞
    • 助詞の分類
    • 格助詞(1)用法
    • 格助詞(2)「の・が」
    • 格助詞(3)「にて・して」
    • 接続助詞(1)用法
    • 接続助詞(2)「ば・とも・ど・ども」
    • 接続助詞(3)「が・に・を・もの―」
    • 接続助詞(4)「て・して・で・つつ・ながら」
    • 副助詞(1)用法
    • 副助詞(2)「だに・さへ・し」
    • 係助詞(1)係り結びの法則
    • 係助詞(2)結びの省略・消滅
    • 係助詞(3)「ぞ・なむ・こそ」
    • 係助詞(4)「や・か」
    • 終助詞
    • 間投助詞
  • 識別
    • 「なむ」の識別
  • 敬語
    • 敬語とその種類
    • 尊敬語
    • 謙譲語
    • 丁寧語
    • 注意すべき敬語動詞
    • 注意すべき敬語法
  • トップへ戻る