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ホーム > 用言 > 動詞(2)四段活用

動詞(2)四段活用

要点のまとめ

■ 四段活用とは

四段よだん活用……活用語尾が4段の音(a・i・u・e)に変化。

未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
-a -i -u -u -e -e

(語例)「書かく」「申まうす」「思おもふ」「読よむ」

■ 四段活用の見分け方

四段活用の動詞は、「ず」を付けると直前がア段音(-a)になる。

(例)「書く」+「ず」→「書か(ka)ず」

解説

1 四段活用とは

四段よだん活用とは、活用語尾が五十音図の4段の音(a・i・u・e)にわたって変化するような動詞の活用のしかたをいう。

例として、「書かく」の活用を見てみよう。

書かず  (未然形)

書きたり (連用形)

書く。  (終止形)

書くとき (連体形)

書けども (已然形)

書け。  (命令形)

〔太字=語幹、赤字=活用語尾〕

四段活用動詞

「書く」の活用語尾に注目すると、

か(ka)=ア段音

き(ki)=イ段音

く(ku)=ウ段音

く(ku)=ウ段音

け(ke)=エ段音

け(ke)=エ段音

というように、カ行の四つの段にわたって活用していることがわかる。

つまり、「書く」は、カ行﹅﹅四段活用の動詞である。

アドバイス

ある動詞の活用を問われたとき、単に「四段活用」というように、活用の種類の名前を答えるだけでは十分でない。

たとえば「『書く』の活用は」と質問されたなら、「カ行﹅﹅四段活用」というように、活用の行も付け加えて答えるようにしよう。

このルールは、四段活用にかぎらず、他の活用の種類についても当てはまる。

*

四段活用の動詞の活用表を、各行ごとに一つずつ例を挙げて示しておこう。

【表】四段動詞の活用表

横にスクロール➡

行 例語 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
カ 書かく 書 か き く く け け
ガ 漕こぐ 漕 が ぎ ぐ ぐ げ げ
サ 申まうす 申 さ し す す せ せ
タ 待まつ 待 た ち つ つ て て
ハ 思おもふ 思 は ひ ふ ふ へ へ
バ 遊あそぶ 遊 ば び ぶ ぶ べ べ
マ 読よむ 読 ま み む む め め
ラ 帰かへる 帰 ら り る る れ れ
用法 ズ タリ

言い切る

トキ ドモ

命令して

言い切る

アドバイス

それぞれの活用形の代表的な用法(後に続く語)を覚えておこう。➡語の活用と活用形

・未然形……ズが付く。

・連用形……タリ・キが付く。

・終止形……句点(。)が付く。

・連体形……トキが付く。

・已然形……ドモが付く。

・命令形……句点(。)が付く。

もっと知る

四段活用の動詞の多くは現代語では五段活用になるが、なかには例外もある。

たとえば、「飽あく」や「震ふるふ」は、古語ではどちらも四段活用である。だが、現代語「飽きる」は上一段活用で、現代語「震える」は下一段活用である。

逆に、現代語では五段活用だが、古語では四段活用でないものもある。

たとえば、「蹴ける」は、現代語では五段活用だが、古語では下一段活用である。

2 四段活用の見分け方

四段活用の動詞は、その数が多いために、すべてを覚えることはできない。

そこで、ある動詞が四段活用かどうかを見分けるには、その動詞に「ず」を付けて未然形にしてみるとよい。(「ず」は未然形に接続する助動詞である。➡「ず」)

「ず」の直前がア段音(-a)になるのであれば、その動詞は四段活用である。

たとえば、「書く」に「ず」を付けると、「書か﹅(ka)ず」になる。

「ず」の直前がア段音になるので、「書く」は四段活用の動詞であるとわかる。

アドバイス

「ず」の直前の音をしらべる方法は、現代語の感覚からその語の未然形を類推する方法である。

したがって、現代語の感覚と活用がずれている語については、この方法は有効であるとはいえない。

たとえば、「滅ぶ」や「恨む」は、現代語の感覚で「滅ば﹅ず」「恨ま﹅ず」としてしまいそうだが、実は「滅び﹅ず」「恨み﹅ず」が正しい形である。(どちらも上二段活用)

また、「飽く」や「震ふ」は、「飽き﹅ず」「震え﹅ず」とするのは間違いで、正しくは「飽か﹅ず」「震は﹅ず」になる。(どちらも四段活用)

練習問題

問題

次の中から四段活用の動詞を選んで、記号で答えなさい。

①飽く ②恨む ③申す ④見る

【ヒント】

それぞれの動詞に「ず」を付けて、直前の音を調べてみよう。四段活用の動詞であれば、直前がア段音(-a)になる。

「飽く」+「ず」→「飽か(ka)ず」(カ行四段)

「恨む」+「ず」→「恨み(mi)ず」(マ行上二段)

「申す」+「ず」→「申さ(sa)ず」(サ行四段)

「見る」+「ず」→「見(mi)ず」(マ行上一段)

間違えて「飽き﹅ず」「恨ま﹅ず」としやすいので注意しよう。

解答

①、③

コメント

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コメント: 22
  • #1

    タヌキ (木曜日, 17 5月 2018 18:46)

    勉強になります。

  • #2

    アメイ (火曜日, 05 6月 2018 22:10)

    ありがとうございます。

  • #3

    南風 (金曜日, 15 2月 2019 11:23)

    例えば『書く』は、古文法では、4段活用ですけど、

    口語文法だと5段活用になりますね。
    未然形の『書こう』がありますから。

    すると、古文で『書こう』と言いたい時は、どんな言葉になるのでしょうか?

  • #4

    Dulce (月曜日, 29 7月 2019 17:20)

    『書こう』は『書く』の未然形+意思の助動詞『う』から成る語です。
    まず意思の助動詞『う』を、古典文法における意思の助動詞に置き換えましょう。

    『書こ』+『む』 →書こむ?
    『書こ』+『べし』→書こべし?

    この時点だと「いや、おかしいだろ」というのが感覚的におわかりになるかと思います。……そもそも五段活用にしかない『書こ』を使ってますからね。
    そこで、当該の助動詞に接続する活用形を持ってきます。
    『書く』は古典文法では、ご承知のように四段活用です。

    助動詞『む』は未然形接続です。

    四段未然 助動詞
    『書か』+『む』→書かむ

    助動詞『べし』は基本的には終止形接続です。

    四段終止 助動詞
    『書く』+『べし』→書くべし

    以上より、

    >古文で『書こう』と言いたい時は、どんな言葉になるのでしょうか?

    への答は

    『書かむ』、または『書くべし』となります。

  • #5

    ら (水曜日, 27 5月 2020 23:52)

    なるほど

  • #6

    ? (月曜日, 01 6月 2020 17:56)

    口語文法に五段活用があるのに対して、なぜ古典文法には五段活用がないのでしょうか?

  • #7

    !! (月曜日, 15 6月 2020 12:17)

    >口語文法に五段活用があるのに対して、なぜ古典文法には五段活用がないのでしょうか?

    というよりも、「古典文法には五段活用がないのに、なぜ口語文法にはあるのか?」「古典文法の四段活用がどうして口語文法で五段活用になったのか?」が正しいでしょう。
    これには、長い歴史による日本語の変遷と、話し言葉と書き言葉の接近が関係していると思われます。文法的には四段活用で良かったものが、長い年月を経て使っていくうちに五段のほうが使い勝手が良くなっていったからでしょう。これには同様に、下二段活用と上二段活用がそれぞれ下一段活用・上一段活用に統一されていった経緯が考えられます。
    (例えば上二段活用「起く」は口語では「起きる」と上一段活用です)

    文語文法は、その発生的経緯から関西方面の言語の影響力を強く受けていますが、日本国内の「グローバル化」が進んで様々な地域の言語と混ざり合い、徐々に変化していきます。江戸時代にもなると、書き言葉ですら、これまでの文語文法と東京方言の話し言葉が混ざったかのように書かれる記述も見られます。

    かつては四段活用で使用されるはずの動詞が、長い年月を経て五段活用で使用してもよいように変化し、それが共通認識を持たれるようになったのではないかと推測できます。
    ですから今後、将来的には四段でも五段でもないまた別な活用が認知度を得る未来もあるのかもしれません。

  • #8

    ฅ(ω (日曜日, 21 6月 2020 21:28)

    書くを未然形にすると書かないになりますがなぜ書けないはダメなんですか?

  • #9

    ミヤマクワガタ (月曜日, 29 6月 2020 06:12)

    「ず」の直前の音をしらべる方法の例外を教えてくださり、ありがとうございます。

  • #10

    vidam (月曜日, 10 8月 2020 17:34)

    大変勉強になりました。
    ありがとうございます。

  • #11

    m9(^Д^)プギャー (木曜日, 27 8月 2020 07:03)

    長文書いてる人頭よくないか」」」

  • #12

    羅温 (月曜日, 31 8月 2020 16:57)

    #8につきまして
    「書けない」だと「不可能」の意味が付け加わってしまうからです。動詞を
    未然形に変える「ず」をつける場合、「意思」的な意味で全体表現を考える(=書かない・書かず)といいと思います。

  • #13

    こ (日曜日, 25 4月 2021 19:22)

    五段活用の前にま行やか行をつけなければいけないのでしょうか?参考書によっては(ま行)五段活用のようにかっこがついて表記されていました。教えていただけると嬉しいです。

  • #14

    JK (月曜日, 10 5月 2021)

    ありがとうございました!

  • #15

    俺様 (金曜日, 14 5月 2021 13:47)

    分かりやすい!

  • #16

    テスト明日 (水曜日, 19 5月 2021 13:50)

    分かりやすいです…とても助かりました!

  • #17

    麻生 あ、そう。 (木曜日, 20 5月 2021 07:42)

    かなり良い勉強になりました(byテスト当日)

  • #18

    ジェイソン・モモア (日曜日, 01 8月 2021 12:25)

    (2021/08/01 12:23:51)
    今、丁度高一の古典文法をやっていますし、どのサイトよりも分かりやすかったです!ありがとうございます!(´▽`)

  • #19

    彩冴咲 (日曜日, 29 8月 2021 17:07)

    勉強になりました(^∇^)

  • #20

    はは (月曜日, 15 11月 2021 17:54)

    ややこしいけど理解ができました。
    ありがとうございます。

  • #21

    国文法 (日曜日, 05 12月 2021)

    本当にわかりやすいサイトで感謝しています。勉強する上でとても役に立っています。このサイトを作ってくださり改めてありがとうございます。Thank you for the really easy-to-understand site. It is very useful for studying. Thank you again for creating this site.

  • #22

    エル (日曜日, 15 10月 2023 06:56)

    古語を勉強したのがもう13年前のことで詳細はすっかり忘れてるから勉強になりました!ついでに、いくつか質問してもいいでしょうか?分かりやすいご説明とはいえ、自信全然ないので:

    乘る(自動詞・ラ行四段活用)
     …乘った。=乘りけり?乘ったりけり?
     …乘っていた。=???

    包む(他動詞・マ行四段活用)
     …包み、…=包み?
     …包んで、…=包みて?

    〜込む(他動詞・マ行四段活用)
     仕舞い込んだ[名詞]=???
     押し込んだ[名詞]=???
     閉じ込んだ[名詞]=???

    よろしくお願いします!

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