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言葉の単位・文節相互の関係

要点のまとめ

■ 言葉の単位

・文ぶん……句点(。)までのひと続きの言葉。

・文節ぶんせつ……文を自然な言葉としてできるだけ小さく区切ったもの。

・単語たんご……言葉の最小の単位。

■ 文節相互の関係(文節の種類)

① 主語・述語の関係……「何が」(主語しゅご)と、「どうする・どんなだ・何だ・ある(ない)」(述語じゅつご)との関係。

(例) 梅主語  咲きぬ 述語  。<梅が咲いた。>

② 修飾・被修飾の関係……くわしく説明する文節(修飾語しゅうしょくご)と説明される文節(被修飾語ひしゅうしょくご)との関係。

(例) いと連用修飾語  うつくしうて  被修飾語   ゐたり。<たいへんかわいらしく座っていた。>

③ 接続・被接続の関係……接続助詞をふくむ文節(接続語せつぞくご)とそれを受ける文節との関係。

(例) 泣けども 接続語   かひなし 被接続語  。<なくけれども、どうにもならない。>

④ 並立へいりつの関係(対等たいとうの関係)……文節どうし(並立語へいりつご)が意味上、対等に並んでいる関係。

(例) 清く並立語  冷たき 並立語  こと限りなし。<この上もなく清らかで冷たい。>

⑤ 独立の関係……ある文節(独立語どくりつご)が他の文節から独立している関係。

(例) 少納言よ 独立語  、香炉峰の雪いかならむ。<少納言よ。香炉峰の雪はどんなであろう。>

⑥ 補助の関係……前の文節(被補助語ひほじょご)に後の文節(補助語ほじょご)が補助的な意味を添える関係。

(例) いたく 泣き被補助語  たまふ 補助語  。<ひどくお泣きになる。>

解説

1 言葉の単位

はじめに文・文節・単語という言葉について説明しておこう。これらは、言葉の大きさを表す単位である。

文ぶんは、句点(。)で区切られるひと続きの言葉である。

文を、意味や発音が不自然にならない程度に、できるだけ小さく区切ったものが文節ぶんせつである。文は、ふつう二つ以上の文節からなる。

その文節をさらに細かく区切ったものが単語たんごである。単語は、言葉の単位のなかで最も小さい。

文がいつくか集まってまとまった思想や感情を表したものを文章ぶんしょうという。言葉の単位は、文章・文・文節・単語の順に大きい。

【図】言葉の単位

言葉の単位

2 文節相互の関係(文節の種類)

文節は、たがいにさまざまな関係で結び付く。文節どうしの関係にはどのようなものがあるか(文節の種類)を簡単に知っておこう。

文節どうしが意味の上で結び付くことを、前の文節からみて「係かかる」といい、後の文節からみて「受うける」という。たとえば、「主語は述語に係る」「述語は主語を受ける」と表現する。

(1) 主語・述語の関係

「何が」に当たる文節を主語しゅごといい、「どうする・どんなだ・何だ・ある(ない)」に当たる文節を述語じゅつごという。

梅主語  咲きぬ 述語  。(何が―どうする)

<梅が咲いた。>

山主語  高し 述語 。(何が―どんなだ)

<山が高い。>

これは 主語  、蓬萊ほうらいの 山なり 述語  。(何が―何だ)

<これは、蓬萊の山です。>

昔、男主語  ありけり 述語  。(何が―ある)

<昔、男がいた。>

アドバイス

主語は、「が・は」などの助詞が省略されることが多い。また、主語自体が省略されることも少なくない。

だから、現代語に訳すときには、「が・は」などを補ったり、主語そのものを補ったりして訳するようにしよう。

もっと知る

文は、主語・述語の関係に着目することによって、単文・複文・重文の3種類に分けることができる。

主語・述語の関係が1回だけあるのが単文たんぶん。主語・述語の関係が2回以上あって、それらが対等であるのが重文じゅうぶん、対等でないのが複文ふくぶんである。

(2) 修飾・被修飾の関係

前にあって後の文節をくわしく説明する(修飾する)文節を修飾語しゅうしよくごといい、後に来て説明される文節を被修飾語ひしゅうしょくごという。

用言の文節を修飾する文節を連用れんよう修飾語といい、体言の文節を修飾する文節を連体れんたい修飾語ということも覚えておこう。➡単語の分類と品詞

いと連用修飾語  うつくしうて  被修飾語   ゐたり。(竹取)

<とてもかわいらしく座っていた。>

月の連体修飾語   都の連体修飾語  人なり被修飾語 。(竹取)

<月の都の人です。>

(3) 接続・被接続の関係

接続助詞をふくむ文節(接続語せつぞくご)とそれを受ける文節(被接続語)との関係である。➡接続助詞(1)用法

足ずりをして 泣けども 接続語   かひなし 被接続語  。(土佐)

<地団駄じだんだを踏んで泣くけれども、どうにもならない。>

(4) 並立へいりつの関係(対等たいとうの関係)

文節どうしが意味上、対等に並んでいる関係である。並立の関係にある文節を並立語へいりつごという。

清く並立語  冷たき 並立語  こと限りなし。(更級)

<この上もなく清らかで冷たい。>

(5) 独立の関係

ある文節が他の文節と直接関係がなく、独立している関係である。独立の関係にある文節を独立語どくりつごという。

少納言よ 独立語  、香炉峰かうろほうの雪いかならむ。(枕)

<少納言よ。香炉峰の雪はどんなであろう。>

(6) 補助の関係

前の文節に後の文節が補助的な意味を添そえる関係である。後の文節を補助語ほじょごといい、前の文節を被補助語ひほじょごという。

かぐや姫いといたく 泣き被補助語  たまふ 補助語  。(竹取)

<かぐや姫は、たいへんひどくお泣きになる。>

アドバイス

修飾・被修飾の関係と補助の関係とでは、文節の位置関係が違うことに注意しよう。

修飾・被修飾の関係では、修飾語が被修飾語よりも前﹅に来る。

それに対して、補助の関係では、補助語が被補助語の後﹅に来る。

もっと知る

補助語になる語は、「ある」「なし」「たまふ(給ふ)」「たてまつる(奉る)」などの用言(動詞・形容詞)であり、これらを補助用言ほじょようげんという。➡単語の分類と品詞

補助用言は、その語の本来の意味を失っており、「~(て・で)ある」「~ない」などの意味を表したり、被補助語に敬意を添えたりする働きをする。

練習問題

問題

次の各文の下線部の文節の働きを後のア~オから選び、記号で答えなさい。

(1) むかし、をとこありけり。(伊勢)

(2) 紫だちたる雲のほそくたなびきたる。(枕)

(3) 玉の男皇子をのこみこさへ生まれたまひぬ。(源氏)

(4) 炭もて渡るもいとつきづきし。(枕)

ア 主語

イ 述語

ウ 連用修飾語

エ 連体接続語

オ 補助語

【ヒント】

それぞれの文節の意味から、文中のどの文節に係っていくかを考えよう。

(1) <昔、男がいた。>

「をとこ」は、「何が」に当たる文節であり、「ありけり」(述語)に係っている。

(2) <紫がかっている雲が細くたなびいている(のがよい)。>

「紫だちたる」は、その後の「雲が」に係ってくわしく説明している。「雲が」は、体言の文節である。

(3) <玉のような皇子までもお生まれになった。>

「たまひぬ」は、その直前の「生まれ」に補助的な意味(お~になる)を添えている。

(4) <炭を持って運ぶのも、(冬の朝に)たいへん似つかわしい。>

「いと」は、その後の「つきづきし」に係ってくわしく説明している。「つきづきし」は、用言の文節である。

解答

(1) ア

(2) エ

(3) オ

(4) ウ

コメント

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コメント: 2
  • #1

    楓 (土曜日, 17 6月 2023 11:40)

    勉強になりました。⌓‿⌓

  • #2

    アイシャ (日曜日, 06 8月 2023 14:01)

    わかりやすかったです!
    勉強になります!!

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