■ 歴史的仮名遣いとは
歴史的仮名遣い……古文を表すときの仮名遣い。
■ 歴史的仮名遣いの読み方
① 語頭以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」→「ワ・イ・ウ・エ・オ」
(例) かは（川）→カワ こひ（恋）→コイ
② 「ゐ・ゑ・を」→「イ・エ・オ」
(例) ゐなか（田舎）→イナカ こゑ（声）→コエ をとこ（男）→オトコ
③ 連母音の長音化
・ ア列音（-ａ）＋「う（ふ）」→ オ列長音（-ｏｕ）
(例) まうす（申す）→モウス
・ イ列音（-ｉ）＋「う（ふ）」→「〇ュウ」（-ｙｕｕ）
(例) うつくしう（美しう）→ウツクシュウ
・ エ列音（-ｅ）＋「う（ふ）」→「〇ョウ」（-ｙｏｕ）
(例) てうづ（手水）→チョウズ
④ 「くわ・ぐわ」→「カ・ガ」
(例) くわし（菓子）→カシ えいぐわ（栄華）→エイガ
⑤ 「ぢ・づ」→「ジ・ズ」
(例) もみぢ（紅葉）→モミジ めづらし（珍し）→メズラシ
⑥ 助動詞などの「む」→「ン」
(例) いかがはせむ→イカガワセン
古文を書き表すときは、現代文とは違った仮名遣い（仮名の使い方）をする。
現在の仮名遣いを現代仮名遣いというのに対して、古文を表すときの仮名遣いを歴史的仮名遣いという。
歴史的仮名遣いには、現代仮名遣いにはない「ゐ」「ゑ」の仮名を用いたり、現代仮名遣いとは違った読み方（発音）をしたりするという特徴がある。
古文の勉強を進めていくための最初の一歩として、この歴史的仮名遣いの読み方を知っておこう。
歴史的仮名遣いは、明治以降、「現代かなづかい」（1946年）が制定されるまでに行われていた仮名遣いであって、平安時代の中頃以前の表記を基準にしている。
平安時代中頃までの仮名遣いは、その当時には書かれている文字（表記）と発音が一致していた。
しかし、時代が下るにつれて発音が変化していき、書かれている文字をすべてそのままでは読まなくなった。
歴史的仮名遣いを読むときには、次のようなルールがある。ぜひ覚えておこう。
(1) 語頭以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」
語頭（単語の頭）以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」（ハ行）は、「ワ・イ・ウ・エ・オ」と読むのが原則である（これをハ行転呼という）。
かは（川）→ カワ
こひ（恋）→ コイ
おもふ（思ふ）→ オモウ
うへ（上）→ ウエ
おほし（多し）→ オオシ
「は・ひ・ふ・へ・ほ」が語頭にあるときは、そのまま「ハ・ヒ・フ・ヘ・ホ」と読む（例、はな（花）→ ハナ）。
複合語・派生語で、元の単語の語頭がハ行である場合も、そのまま読む。
・つきひ（月日）→ ツキヒ
（「月」と「日」からなる複合語）
・うちはらふ（打ち払ふ）→ ウチハラウ
（接頭語「打ち」がついた「払ふ」の派生語）
(2) 「ゐ・ゑ・を」
「ゐ・ゑ・を」は、「イ・エ・オ」と読む。
ゐなか（田舎）→ イナカ
こゑ（声）→ コエ
をとこ（男）→ オトコ
(3) 連母音の長音化
ア列音（-ａ）・イ列音（-ｉ）・エ列音（-ｅ）に「う」が続く場合は、次のように読む。
・ア列音（-ａ）＋「う」→オ列長音（-ｏｕ）
(例) まうす（申す）→ モウス
・イ列音（-ｉ）＋「う」→「〇ュウ」（-ｙｕｕ）
(例) うつくしう（美しう）→ ウツクシュウ
・エ列音（-ｅ）＋「う」→「〇ョウ」（-ｙｏｕ）
(例) てうづ（手水）→ チョウズ
※「あう」は「オウ」、「いう」は「ユウ」、「えう」は「ヨウ」になる。
次の例のように、「う」の代わりに「ふ」が続く場合も、同じようにして読む。（「ふ」は語頭にないので、(1)のルールによって「う」に置きかえる。）
あふぎ（扇）→ あうぎ → オウギ
きふ（急）→ きう → キュウ
けふ（今日）→ けう → キョウ
(4) 「くわ・ぐわ」
「くわ・ぐわ」は、「カ・ガ」と読む。
くわし（菓子）→ カシ
えいぐわ（栄華）→ エイガ
(5) 「ぢ・づ」
「ぢ・づ」は、「ジ・ズ」と読む。
もみぢ（紅葉）→ モミジ
めづらし（珍し）→ メズラシ
(6) 助動詞などの「む」
助動詞「む・むず・けむ・らむ」や助詞「なむ」などの「む」は、「ン」と読む。
いかがはせむ → イカガワセン
梅咲かなむ → ウメサカナン
これらの「む」は、「ん」と表記されることもある。
次の各文の下線部を現代仮名遣いに直して平仮名で答えなさい。
(1) 寺のさまもいとあはれなり。（源氏）
(2) 石山にまゐる。（更級）
(3) よろづの言の葉とぞなれりける。（古今）
(4) やうやう白くなりゆく山ぎは （枕）
(5) 月日は百代の過客（くわかく）にして （おくのほそ道）
(6) 衣干すてふ天の香具山 （万葉）
【ヒント】
歴史的仮名遣いには、書かれてあるとおりに発音することができない部分がある。
本文の解説を読んだうえで、どのように発音するのかを考えよう。
現代仮名遣いは、原則として、発音どおりに書き表すことができる。（現代仮名遣いにも、「こんにちは」「どちらへ」など、若干の例外はある。）
(1) あわれ
(2) まいる
(3) よろず
(4) ようよう
(5) かかく
(6) ちょう
コメントをお書きください
大村 由美子 (木曜日, 07 4月 2022 15:36)
二条城を歴史的仮名遣いで表記するとどうなりますか。
たま (日曜日, 24 4月 2022 15:49)
にでうじやう
でしょうか。
ごんちゃ (木曜日, 12 5月 2022 08:54)
温泉はどういうのだろう
でんでん (火曜日, 05 7月 2022 14:14)
ぐわちゃふってなんですか
デデデ大王 (金曜日, 04 11月 2022 14:28)
意味不明
ﾃﾞﾃﾞﾃﾞ魔王 (月曜日, 07 11月 2022 13:46)
もうちょっと例をあげてほしいです。
中学１年生 (木曜日, 10 11月 2022 19:24)
学校で
ほうぎゃく→ほうぎょく
と習いました。
「a列音＋う」ではなく、「a列音＋ku」の時も変わりますか？
けふは (月曜日, 14 11月 2022 09:39)
1946以前の小学生はどうやって勉強してたんだろう？
ねむみねむ (火曜日, 15 11月 2022 15:07)
かういは何ですか？
miiiia (火曜日, 29 11月 2022 09:25)
士どもあまた具して
を訳してください��
中3 (木曜日, 02 2月 2023 11:38)
ありがとう
まいどおおきに (日曜日, 23 4月 2023 20:40)
ありがとうございます
ばたぁ (火曜日, 23 5月 2023 19:27)
ありがとうございます！
とても参考になりました！
続きや細かい歴史的仮名遣いの特徴などを待っています
こーひー (水曜日, 14 6月 2023 22:29)
お茶はなんていいますか？
危機温厚 (日曜日, 09 7月 2023 15:07)
危機温厚
アイシャ (日曜日, 06 8月 2023 13:59)
わかりやすかったです！！
しぃ (木曜日, 17 8月 2023 08:18)
覚え方を教えてください
すずこ (日曜日, 03 9月 2023 20:56)
おお空→おほ空
ですか?
こ (木曜日, 21 9月 2023 19:09)
ありがとうございました
カイリュウかわいい (木曜日, 21 9月 2023 19:10)
すごくわかりました
イーブイブイブイ (金曜日, 22 9月 2023 07:58)
これは中学何年ですか？
ゴリラザウルス (木曜日, 28 9月 2023 09:25)
歴史的仮名遣いむずぃ
赤石 (火曜日, 03 10月 2023 09:53)
いいとおもう
ねこっち (月曜日, 06 11月 2023 18:43)
歴史的仮名遣いは難しいと思っていたけど、よく考えればわかりやすいと思いました。
ayu (水曜日, 22 11月 2023 11:36)
単語？みたいな一覧も載せてほしい
カタヤマヒロム (水曜日, 20 12月 2023 13:46)
なりたい→なりたひ
するように→するやうに
であってますか？
まつのひでこ (水曜日, 21 2月 2024 09:39)
「思ほえず」を声に出して読むとき「ほ」は「ほ」のまま読みますか？
やましたまゆ (土曜日, 20 4月 2024 08:02)
「起こされる」を文語、歴史的仮名遣いにする「起さる」でいいでしょうか？
歴史仮名遣いに変換した場合の品詞分解等の解説をお願いたします
アンチ (水曜日, 02 10月 2024 16:37)
クッソ役に立たない。
死んで詫びろ。