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敬語とその種類

要点のまとめ

■ 敬語とは

敬語けいご……話し手(書き手)が話題中の人物や聞き手に敬意を表す言葉。

■ 敬意の方向

① 「誰から」の敬意か(敬意の主体)

・ 地の文の敬語……文章の書き手(作者)

・ 会話文の敬語……会話の話し手

② 「誰へ」の敬意か(敬意の対象)……尊敬語・謙譲語・丁寧語

■ 敬語の種類

① 尊敬語そんけいご……動作をする人(為手して)への敬意を表す。

(例) 御前にも、…とおぼしめしたり。<中宮定子様におかれても、…とお思いになっている。>

② 謙譲語けんじょうご……動作を受ける人(受け手)への敬意を表す。

(例) 宮に初めて参りたるころ <(中宮定子様の)御所に初めて参上したころは>

③ 丁寧語ていねいご……聞き手・読者への敬意を表す。

(例) 翁、皇子に申すやう、「いかなる所にか、この木はさぶらひけむ、…」<翁が、皇子に申し上げることには、「どのような所にこの木はございましたか、…」>

解説

1 敬語とは

敬語けいごとは、話し手(書き手)が話題中の人物や聞き手に敬意を表すために用いる言葉をいう。

古文が書かれた時代には、身分の高低があった。そのため、古文には敬語が多く、また、厳格に使い分けられている。

アドバイス

敬語は、古文に登場する人物の身分や行動を知り、内容を読み解くヒントになる。

たとえば、文中の主語が省略されている場合であっても、述語に尊敬語が使われている場合には、身分の高い人物がその主語であると見当がつく。

また、敬語のなかには特別に高い敬意を表すものもあるから、それが使われている場合は高貴な人物(天皇など)が関係していることがわかる。

2 敬意の方向

敬語を理解するには、「”誰から・誰へ”の敬意か」という視点をもつことが重要になる。これを敬意の方向という。

(1) 「誰から」の敬意か(敬意の主体)

「誰からの敬意か」は、当然に、敬語を使う人物からの敬意である。もっとも、敬語を使う人物は、地の文か会話文かで異なる。

地じの文ぶんとは、文章中の会話文以外の部分をいう。

すなわち、地の文の敬語はその文章の書き手(作者)からの敬意を表し、会話文中の敬語はその会話の話し手からの敬意を表す。

敬意の主体

・地の文の敬語……文章の書き手(作者)

・会話文の敬語……会話の話し手

(2) 「誰へ」の敬意か(敬意の対象)

敬意を表す対象は、話題の中で動作をする人、動作を受ける人、会話の聞き手・文章の読み手(読者)のいずれかである。

敬語は、誰に対して敬意を表すかによって三つの種類に分けられる。次に説明する。

敬意の対象

・尊敬語……動作をする人(為手)

・謙譲語……動作を受ける人(受け手)

・丁寧語……聞き手・読み手

【図】敬意の方向

敬意の方向

3 敬語の種類

敬語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語の三つの種類がある。それぞれ敬意を表す対象が違う。

(1) 尊敬語

尊敬語そんけいごは、話題中の動作をする人(為手して)への敬意を表す言葉である。➡尊敬語

御前おまへにも、「えさはあらじ」とおぼしめしたり。(枕)

<中宮ちゅうぐう定子ていし様におかれても、「そうはあるまい」とお思いになっている。>

上の例文では、尊敬語「おぼしめし(おぼしめす)」が地の文にあり、作者(清少納言)から、<お思いになる>という動作をする人である中宮定子への敬意を表している。

古文単語

・「おぼしめす(思し召す)」= お思いになる(「おもふ(思ふ)」の尊敬語)

(2) 謙譲語

謙譲語けんじょうごは、話題中の動作を受ける人(受け手)への敬意を表す言葉である。➡謙譲語

「~に」「~から」のように動詞の目的語になっている人物が動作の受け手になる。

宮みやに初めて参まゐりたるころ、もののはづかしきことの数知らず(枕)

<(中宮定子様の)御所に(お仕えするために)初めて参上したころは、…>

上の例文では、謙譲語「参り(参る)」が地の文にあり、作者(清少納言)から、<参上する>という動作の受け手である中宮定子への敬意を表している。

古文単語

・「まゐる(参る)」= ①参上する・入内じゅだいする・参詣さんけいする(「行く」の謙譲語)、②差し上げる(「与ふ・す」の謙譲語)、③召し上がる(「飲む・食ふ」の尊敬語)

もっと知る

現代語の謙譲語は、動作をする側をへりくだって言うことで間接的に相手を高める働きをする。したがって、謙譲語が使われるのは自分側の人(自分やその身内)の動作だけにかぎられる。

しかし、現代語と違って、古語の謙譲語には動作をする側をへりくだらせる意味合いはない。自分側の人の動作でなくても、作者・話し手が動作の受け手に敬意を表したいときには謙譲語が使われる。➡注意すべき敬語法

・大納言ばかりに沓くつ取らせ奉たてまつり給ふよ。(枕)

<(関白殿が)大納言ほど(高位の方)に沓をお取らせ申し上げなさることよ。>

古語の敬語は、現代語の敬語とは視点が異なることに注意しよう。

(3) 丁寧語

丁寧語ていねいごは、会話の聞き手・読者への敬意を表す言葉である。➡丁寧語

翁おきな、皇子みこに申すやう、「いかなる所にか、この木はさぶらひけむ、…」(竹取)

<翁が、皇子に申し上げることには、「どのような所にこの木はございましたか、…」>

上の例文では、丁寧語「さぶらひ(さぶらふ)」が会話文中にあり、会話の話し手である「翁」から、聞き手である「皇子」への敬意を表している。

古文単語

・「さぶらふ(候ふ)」= ①ごさいます・おります(「あり・居をり」の丁寧語)、②お仕えする・参上する(「あり・居り」の謙譲語)

練習問題

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コメント

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コメント: 1
  • #1

    いか (火曜日, 02 8月 2022 06:19)

    やっと敬語が理解できました

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