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尊敬語

要点のまとめ

■ 尊敬語の形

① 尊敬の本動詞

(例) 親王、おほとのごもらで明かし給うてけり。<親王は、おやすみにならないで夜を明かしなさってしまった。>

② 動詞+尊敬の補助動詞

(例) すぐれて時めき給ふありけり。<きわだって天皇のご寵愛をお受けるになる方がいた。>

③ 動詞+尊敬の助動詞

(例) かの木を切られにけり。<その木をお切りになってしまった。>

■ 尊敬の動詞一覧

解説中の表「尊敬の本動詞一覧」「尊敬の補助動詞一覧」を参照。

解説

1 尊敬語の形

尊敬語は、動作をする人に対して敬意を表す言葉である。➡敬語とその種類

尊敬語には、次の三つの形がある。

尊敬語の形

① 尊敬の本動詞

② 動詞+尊敬の補助動詞

③ 動詞+尊敬の助動詞

(1) 尊敬の本動詞

動詞の中には、動作を表すだけでなく尊敬の意味をも含むものがある。そのような動詞を尊敬の本動詞という。

親王みこ、おほとのごもらで明かし給たまうてけり。(伊勢)

<親王は、おやすみにならないで夜を明かしなさってしまった。>

古文単語

おおとのごもる(大殿籠る)= おやすみになる(「寝」の尊敬語)

(2) 動詞+尊敬の補助動詞

補助動詞とは、動詞などに付いて意味を付け加える動詞をいう。

尊敬の補助動詞は、尊敬の意味を付け加える。「~ていらっしゃる」「お~になる・~なさる」などと訳す。

すぐれて時ときめき給ふありけり。(源氏)

<きわだって天皇のご寵愛ちょうあいをお受けるになる方がいた。>

古文単語

・ときめく(時めく)=時流に乗って栄える/寵愛を受ける

・たまふ(賜ふ・給ふ)〔四段活用〕=お与えになる(「与ふ」の尊敬語)/お~になる・~なさる(尊敬の補助動詞)

(3) 動詞+尊敬の助動詞

「る・らる・す・さす・しむ」は、動詞に付いて尊敬を表す助動詞である。➡「る・らる」 ➡「す・さす・しむ」

この名然しかるべからずとて、かの木を切られにけり。(徒然)

<…その木をお切りになってしまった。>

アドバイス

「る・らる・す・さす・しむ」に尊敬の補助動詞が続くときの用法に注意しよう。

「れたまふ(給ふ)・られたまふ」となるときの「れ・られ」は、尊敬ではない(受身または自発の意味になる)。➡「る・らる」

「す・さす・しむ」が尊敬を表す場合には、かならず尊敬の補助動詞が続いて「せたまふ・させたまふ・しめたまふ」などの形になる(この形で使役を表すときもある)。➡「す・さす・しむ」

2 尊敬の動詞一覧

尊敬の本動詞・補助動詞の主なものを、それぞれの一覧表で確認しておこう。

これらの動詞を訳語とあわせて覚えておこう。

【表】尊敬の本動詞一覧

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尊敬語 訳語 ふつうの語
おはす
おはします
います
いらっしゃる
おいでになる
あり・居をり
・行く・来く
まします
います(そ)かり
いらっしゃる
おいでになる
あり・居り
おぼす(思す)
おぼしめす(思し召す)
おもほす(思ほす)
お思いになる 思ふ
おほせらる(仰せらる)*
のたまふ(宣ふ)
のたまはす(宣はす)
おっしゃる 言ふ
おほとのごもる(大殿籠る) おやすみになる 寝ぬ
きこしめす(聞こし召す) お聞きになる 聞く
召し上がる 飲む・食ふ
まゐる(参る)⁑  
ごらんず(御覧ず) ご覧になる 見る
しろしめす(知ろし召す) お治めになる 治む
ご存じである 知る
たまふ(賜ふ・給ふ)[四段]
たまはす(賜はす・給はす)
たぶ
お与えになる 与ふ
めす(召す) お呼び寄せになる 呼び寄す
召し上がる
お召しになる
お乗りになる
飲む・食ふ
・着る・乗る
たてまつる(奉る)⁑  
あそばす (何かを)なさる す

* 「おほす(仰す)」に尊敬の助動詞「らる」が付いた形。
⁑ 本来謙譲語であるが、尊敬語としても用いられる。

古文単語

・おおす(仰す)=命令する/(中世以降)おっしゃる(「言ふ」の尊敬語)

*

【表】尊敬の補助動詞一覧

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尊敬語 訳語
おはす
います
~ていらっしゃる
おはします
まします
~ていらっしゃる
※「~せ(させ)+おはします・まします」の形で、<お~になる・~なさる>と訳す。
たまふ(賜ふ・給ふ)[四段]
たぶ
たうぶ
お~になる・~なさる
~てくださる

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