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格助詞(3)「にて・して」

要点のまとめ

■ 「にて」の用法

① 場所・時間<~で>

(例) 潮海のほとりにてあざれあへり。<海のそばでふざけあっている。>

② 手段・材料<~で>

(例) 舟にてかつがつ物などを渡す。<舟でどうにかこうにか物などを渡した。>

③ 原因・理由<~によって>

(例) 竹の中におはするにて知りぬ。<竹の中にいらっしゃることによってわかった。>

④ 資格<~として>

(例) ただ人にておほやけの <臣下として朝廷の>

■ 「して」の用法

① 手段・方法<~で>

(例) およびの血して書きつけける。<指の血で書きつけた。>

② 共同の相手<~とともに>

(例) 一人二人して行きけり。<一人二人とともに行った。>

③ 使役の相手<~に命じて>

(例) 人して惟光召させて <人に命じて惟光を呼び出させて>

解説

1 「にて」の用法

「にて」は、古文に特有の格助詞で、次のような用法があります。

「にて」の用法

① 場所・時間<~で>

② 手段・材料<~で>

③ 原因・理由<~によって>

④ 資格<~として>

もっと知る

古語の助詞「にて」は、現代語の助詞「で」に当たります。

(1) 場所・時

場所・時(年齢)は、<~で>と訳します。

潮海しほうみのほとりにてあざれあへり。(土佐)

<海のそばでふざけあっている。>

十二にて御元服したまふ。(源氏)

<12歳で元服なされた。>

(2) 手段・材料

手段・材料は、<~で>と訳します。

舟にてかつがつ物などを渡す。(更級)

<舟でどうにかこうにか物などを渡した。>

(3) 原因・理由

原因・理由は、<~によって>などと訳します。

我朝ごと夕ごとに見る竹の中におはするにて知りぬ。(竹取)

<…竹の中にいらっしゃることによってわかった。>

(4) 資格

資格は、<~として>と訳します。

ただ人うどにておほやけの御後見おほんうしろみをするなむ (源氏)

<臣下として朝廷をお助けするのが>

2 「して」の用法

「して」も、古文に特有の格助詞で、次のような用法があります。

「して」の用法

① 手段・方法<~で>

② 共同の相手<~とともに>

③ 使役の相手<~に命じて>

(1) 手段・方法

手段・方法は、<~で>と訳します。

そこなりける岩に、およびの血して書きつけける。(伊勢)

<…指の血で書きつけた。>

(2) 共同の相手

共同の相手は、<~とともに>と訳します。

もとより友とする人、一人二人して行きけり。(伊勢)

<…一人二人とともに行った。>

(3) 使役の相手

使役の相手は、<~に命じて>などと訳します。

人して惟光これみつ召させて(源氏)

<(源氏は)人に命じて惟光を呼び出させて>

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