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接続助詞(4)「て・して・で・つつ・ながら」

要点のまとめ

■ 「て・して」の用法

連用形に付いて単純な接続<~て>を表す。

(例) 火などいそぎおこして、炭もてわたるも <火などを急ぎおこして、炭を持って行くのも>

■ 「で」の用法

未然形に付いて打消の接続<~ないで>を表す

(例) 雷なりしづまらで、日頃になりぬ。<雷も鳴り静まらないで、数日がたってしまった。>

■ 「つつ」の用法

連用形に付く。

① 動作の反復・継続<~ては・~し続けて>

(例) 竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。<竹を取っては、いろいろなことに使っていた。>

(例) 女はこの男をと思ひつつ、親のあはすれども。<女はこの男をと思い続けて、親が(他の男と)結婚させようとするけれども>

② 動作の並行<~ながら>

(例) 水の上にあそびつつ魚を食ふ。<水の上で自由に動き回りながら魚を食べる。>

■ 「ながら」の用法

連用形に付く。

① 逆接確定条件<~のに・~けれども>

(例) 身はいやしながら、母なむみやなりける。<身分は低いけれども、母親が皇女であった。>

② 動作の並行<~ながら>

(例) 食ひながら、文をも読みけり。<食べながら、本を読んでいた。>

解説

1 「て・して」の用法

「て」「して」は、連用形に付く接続助詞です。

単純な接続を表し、<~て>と訳します。

火などいそぎおこして、炭もてわたるも、いとつきづきし。(枕)

<火などを急ぎおこして、炭を持って行くのも、(冬の朝に)たいそう似つかわしい。>

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。(方丈)

<流れ行く河の流れは途絶えることがなくて、そのうえもとの水ではない。>

2 「で」の用法

「で」は、未然形に付く接続助詞です。

打消の接続を表し、<~ないで>と訳します。

なほ雨風やまず、雷なりしづまらで、日頃になりぬ。(源氏)

<依然として雨風が止まず、雷も鳴り静まらないで、数日がたってしまった。>

アドバイス

「て」と「で」の接続と用法の違いに注意しましょう。

「て」は連用形に付いて単純な接続を表し、「で」は未然形に付いて打消の接続を表します。

3 「つつ」の用法

「つつ」は、連用形に付く接続助詞で、次の二つの用法があります。

(1) 動作の反復・継続

反復は、動作が繰り返し行われることを表し、<~ては>と訳します。

継続は、動作がそのまま続いていることを表し、<~し続けて>と訳します。

野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。(竹取)

<野や山に入って竹を取っては、いろいろなことに使っていた。>

女はこの男をと思ひつつ、親のあはすれども、聞かでなむありける。(伊勢)

<女はこの男を(夫にしたい)と思い続けて、親が(他の男と)結婚させようとするけれども、聞き入れないでいた。>

(2) 動作の並行

並行は、複数の動作が同時に行われることを表し、<~ながら>と訳します。

白き鳥の、嘴はしと足と赤き、鴫しぎのおおきさなる、水の上にあそびつつ魚いをを食ふ。(伊勢)

<…水の上で自由に動き回りながら魚を食べる。>

4 「ながら」の用法

「ながら」は、連用形に付く接続助詞で、次の二つの用法があります。

(1) 逆接確定条件

逆接確定条件は、<~のに・~けれども>と訳します。

身はいやしながら、母なむみやなりける。(伊勢)

<(男は)身分は低いけれども、母親が皇女であった。>

(2) 動作の並行

並行は、複数の動作が同時に行われることを表し、<~ながら>と訳します。

食ひながら、文をも読みけり。(徒然)

<(芋頭を)食べながら、本を読んでいた。>

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