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接続助詞(3)「が・に・を・もの―」

要点のまとめ

■ 「が」の用法

接続助詞の「が」は、連体形に付く。

① 逆接確定条件<~のに・~けれども>

(例) 昔よりおほくの白拍子ありしが、かかる舞はいまだ見ず。<昔から多くの白拍子がいたけれども、…>

② 単純な接続<~(する)と・~(した)ところ・~が>

(例) 女君二人男君一人おはせしが、この君たちみな大人び給ひて <女君が二人、男君が一人いらっしゃったが、…>

■ 「に・を」の用法

接続助詞の「に・を」は、連体形に付く。

① 順接確定条件<~ので・~から>

(例) 母、物語など求めて見せたまふに、げにおのづから慰みゆく。<母が物語などを探して見せてくださるので、…>

② 逆接確定条件<~のに・~けれども>

(例) 十月つごもりなるに、紅葉散らで盛りなり。<十月も末であるというのに、…>

③ 単純な接続<~(する)と・~(した)ところ・~が>

(例) あやしがりて、寄りて見るに、筒の中光りたり。<不思議に思って、近寄って見ると、…>

■ 「ものの・ものを・ものから・ものゆゑ」の用法

連体形に付いて逆接確定条件<~のに・~けれども>を表す。

(例) つれなくねたきものの、忘れがたきに思す。<冷淡で憎らしいけれども、…>

解説

1 「が」の用法

「が」は、連体形に付く接続助詞で、次の二つの用法があります。

(1) 逆接確定条件

逆接確定条件を表す「が」は、<~のに・~けれども>と訳します。

昔よりおほくの白拍子しらびやうしありしが、かかる舞はいまだ見ず。(平家)

<昔から多くの白拍子がいたけれども、このような(すばらしい)舞はいまだ見たことがない。>

(2) 単純な接続

単純な接続は、単に前後をつなげる意味を表し、<~(する)と・~(した)ところ・~が>と訳します。

女君二人男君一人おはせしが、この君たちみな大人び給ひて(大鏡)

<女君が二人、男君が一人いらっしゃったが、この方たちはみんな成人なさって>

2 「に・を」の用法

「に」「を」は、連体形に付く接続助詞で、次の三つの用法があります。

接続助詞「に・を」の用法

① 順接確定条件

② 逆接確定条件

③ 単純な接続

(1) 順接確定条件

順接確定条件を表す「に・を」は、<~ので・~から>と訳します。

母、物語など求めて見せたまふに、げにおのづから慰みゆく。(更級)

<母が物語などを探して見せてくださるので、本当に自然と気分が晴れていく。>

露けき中に過ぐしたまふも、心苦しう思さるるを、とく参りたまへ。(源氏)

<湿っぽい場所で過ごされているのも、気の毒に思わずにいられないので、早く参内なさい。>

(2) 逆接確定条件

逆接確定条件を表す「に・を」は、<~のに・~けれども>と訳します。

十月つごもりなるに、紅葉もみぢ散らで盛りなり。(更級)

<十月も末であるというのに、紅葉が散らないで盛りである。>

まかでなむとし給たまふを、暇いとまさらに許させ給はず。(源氏)

<(桐壺更衣は)退出しようとなさるけれども、(帝は)まったく休暇をお許しにならない。>

(3) 単純な接続

単純な接続は、単に前後をつなげる意味を表し、<~(する)と・~(した)ところ・~が>と訳します。

あやしがりて、寄りて見るに、筒の中光りたり。(竹取)

<不思議に思って、近寄って見ると、筒の中が光っている。>

「夏山なつやまとなむ申す」と申ししを、やがて繁樹しげきとなむつけさせ給へりし。(大鏡)

<「夏山と申します。」と申し上げたところ、すぐに繁樹とお付けくださった。>

3 「もの―」の用法

「ものの」「ものを」「ものから」「ものゆゑ」はすべて、名詞「もの」に助詞などが付いてできた接続助詞です。

連体形に付いて逆接確定条件を表し、<~のに・~けれども>と訳します。

つれなくねたきものの、忘れがたきに思おぼす。(源氏)

<冷淡で憎らしいけれども、忘れられない人だとお思いになる。>

しばし見ぬだに恋しきものを、遠くはましていかに(源氏)

<しばらく会わないのでさえ恋しく思われるのに、まして遠くに行ってしまったらどんなに(恋しいだろうか)>

いたましうするものから、下戸げこならぬこそ、男をのこはよけれ。(徒然)

<(酒を勧められて)つらいようにするけれども、(実は)酒が飲めないことはないのが、男としてはよい。>

かなはぬものゆゑ、なほもただ宰相の申されよかし。(平家)

<思い通りにならないけれども、やはりとにかく宰相が申し上げてください。>

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