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接続助詞(2)「ば・とも・ど・ども」

要点のまとめ

■ 「ば」の用法

未然形に付く場合、順接仮定条件<もし~ならば>を表す。

(例) その事果てな未然ば、とく帰るべし。<(もし)その用事が済んでしまったならば、早く帰るとよい。>

已然形に付く場合、順接確定条件を表す。

① 原因・理由<~ので・~から>

(例) いと幼けれ 已然 ば、籠に入れて養ふ。<たいへん幼いので、かごに入れて育てる。>

② 偶然条件<~すると・~したところ>

(例) 富士の山を見れ 已然 ば、五月のつごもりに雪いと白うふれり。<富士山を見ると、…雪がたいへん白く降り積もっている。>

③ 恒常条件<~するといつも>

(例) 瓜食め 已然 ば子ども思ほゆ <瓜を食べるといつも子どものことが思い出される。>

■ 「とも」の用法

終止形に付いて逆接仮定条件<たとえ~ても>を表す。

(例) 千年を過ぐす 終止 とも、一夜の夢の心地こそせめ。<たとえ千年を過ごしても、一夜の夢の気がするだろう。>

■ 「ど・ども」の用法

已然形に付いて逆接確定条件<~けれども>を表す。

(例) いとはつらくは見ゆれ 已然 ど、こころざしはせむとす。<たいへん思いやりがないと感じられるけれども、贈り物はしようと思う。>

(例) 足ずりをして泣け 已然 ども、かひなし。<地団駄を踏んで泣くけれども、どうしようもない。>

解説

1 「ば」の用法

接続助詞「ば」は、それが付く語の活用形によって用法が異なります。

(1) 未然形に付く場合:順接仮定条件

「ば」が活用語の未然形に付く場合、順接仮定条件を表し、<もし~ならば>と訳します。

その事果てなば、とく帰るべし。(徒然)

<(もし)その用事が済んでしまったならば、早く帰るとよい。>

※ 「な」は、完了の助動詞「ぬ」の未然形です。

(2) 已然形に付く場合:順接確定条件

「ば」が活用語の已然形に付く場合、順接確定条件を表します。

「ば」の順接確定条件は、さらに次の三つの用法に分かれます。

「ば」の順接確定条件

① 原因・理由<~ので・~から>

② 偶然条件<~すると・~したところ>

③ 恒常こうじょう条件<~するといつも>

原因・理由は、前の事柄が後の事柄の原因・理由になっている場合で、<~ので・~から>と訳します。

いと幼ければ、籠こに入れて養ふ。(竹取)

<たいへん幼いので、かごに入れて育てる。>

※ 「幼けれ」は、形容詞の已然形です。

偶然条件は、前の事柄と後の事柄との間に必然性がない(偶然にそうなった)場合で、<~すると・~したところ>と訳します。

富士の山を見れば、五月さつきのつごもりに雪いと白うふれり。(伊勢)

<富士山を見ると、…雪がたいへん白く降り積もっている。>

※ 「見れ」は、上一段動詞の已然形です。

恒常条件は、前の事柄が起こるといつも後の事柄が起こる場合で、<~するといつも>と訳します。

瓜うり食はめば子ども思おもほゆ(万葉)

<瓜を食べるといつも子どものことが思い出される。>

※ 「食め」は、四段動詞の已然形です。

アドバイス

接続助詞「ば」は、直前の語の活用形によって用法が異なることに注意しましょう。

直前の語が未然形であれば順接仮定条件(もし~ならば)になり、已然形であれば順接確定条件になります。

「ば」の順接確定条件には、①原因・理由(~ので)、②偶然条件(~すると)、③恒常条件(~するといつも)の三つがあることも押さえておきましょう。

2 「とも」の用法

接続助詞「とも」は、活用語の終止形に付いて、逆接仮定条件を表します。<たとえ~ても>と訳します。

千年ちとせを過ぐすとも、一夜ひとよの夢の心地こそせめ。(徒然)

<たとえ千年を過ごしても、一夜の夢の気がするだろう。>

※ 「過ぐす」は、四段動詞の終止形です。

3 「ど・ども」の用法

接続助詞の「ど」「ども」は、どちらも活用語の已然形に付いて、逆接確定条件を表します。<~けれども>と訳します。

いとはつらくは見ゆれど、こころざしはせむとす。(土佐)

<たいへん思いやりがないと感じられるけれども、贈り物はしようと思う。>

※ 「見ゆれ」は、下二段動詞の已然形です。

足ずりをして泣けども、かひなし。(伊勢)

<地団駄を踏んで泣くけれども、どうしようもない。>

※ 「泣け」は、四段動詞の已然形です。

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コメント: 1
  • #1

    月牙 (月曜日, 06 11月 2023 14:55)

    わかりやすい

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