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ホーム > 助詞 > 係助詞(4)「や・か」

係助詞(3)「や・か」

要点のまとめ

■ 「や・か」の用法

① 疑問<~(の)か>

(例) 春やとき花やおそきと <春が早く来過ぎたのか、花が咲くのが遅いのかと>

② 反語<~か、いや~(ない)>

(例) いづれか歌を詠まざりける <だれが歌を詠まなかったか、いや読まないものはなかった。>

■ 文末用法

文の終わりに用いられて、疑問・反語を表す。

(例) 浄き水ある所知りたりや。<きれいな水がある場所を知っているか。>

(例) 心とけて寝ぬるものか。<気を許して寝るものだろうか、いや寝ない。>

解説

1 「や・か」の用法

係助詞「や」「か」は、疑問または反語を表します。

「や」「か」は、ふつう文中で用いられて文末の語を連体形で結びます(係り結びの法則)。

(1) 疑問

疑問は、心の中で疑うことや相手に問うことを表し、<~(の)か>と訳します。

春やとき連体形花やおそき 連体形 と聞きわかむ鶯うぐひすだにも鳴かずもあるかな (古今)

<春が早く来過ぎたのか、花が咲くのが遅いのかと…>

(2) 反語

反語は、話し手が自分の考えとは反対のことを疑問の形で述べることによって、決してそうではないことを強調する表現をいいます。

反語は、<~か、いや~(ない)>と訳します。「いや~」以下の部分は、原文にはないですが、話し手が強調して伝えたいことであって、現代語に訳すときには補います。

生きとし生けるもの、いづれか歌を詠まざりける連体形。(古今)

<この世に生を受けたもので、だれが歌を詠まなかったか、いや読まないものはなかった。>

アドバイス

「や」「か」が疑問と反語のどちらを表すかは、ふつう文脈で判断します。問いに対する答えが明らかで、聞き手が当然に否定することを期待できる場合には、反語になります。

反語に訳すときには、「いや~」の部分まできちんと訳すようにしましょう。

2 文末用法

係助詞「や」「か」は、文の終わりに用いられて、疑問・反語を表す場合もあります。これを文末用法といいます。

また、結びの省略に似ていますが、文末用法は係り結びと関係がないことに注意してください。

この辺ほとり近く、浄きよき水ある所知りたりや。(今昔)

<…きれいな水がある場所を知っているか。>

人離れたる所に、心とけて寝いぬるものか。(源氏)

<(こんな)人気のない所で、気を許して寝るものだろうか、いや寝ない。>

もっと知る

「や」「か」に係助詞「は」が付いた「やは」「かは」の形は、多くは反語を表します。文末用法だけでなく、文中用法でも同じです。

・命は人を待つものかは。(徒然)

<命は人を待つものだろうか、いや待たない。>

・さてもやは、ながらへ住むべき。(徒然)

<そうであっても、永く住み続けることができるだろうか、いやできない。>

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