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係助詞(3)「ぞ・なむ・こそ」

要点のまとめ

■ 「ぞ・なむ・こそ」の用法

「ぞ・なむ・こそ」は、強意を表す(訳出しない)。

(例) よろずの言の葉とぞなれりける 連体 。<さまざまな言葉となった(ものである)。>

(例) いたく思ひわびてなむはべる 連体 。<ひどくつらく思っております。>

(例) 返す返す本意なくこそおぼえはべれ 已然 。<返す返すも残念に思われます。>

■ 「こそ~已然形」の逆接用法

「こそ~已然形」の後に文が続く場合、逆接を表し、<~けれども・~だが>と訳す。

(例) 中垣こそあれ 已然 、一つ家のやうなれば、<中垣はあるけれども、一軒の家のようなものなので、>

■ 「もぞ・もこそ」の懸念用法

「もぞ」「もこそ」は、<~すると困る・~したら大変だ>などと訳す。

(例) 雨もぞ降る連体形。<雨が降ると困る。>

(例) 烏などもこそ見つくれ 已然形 。<烏などが見つけたら大変だ。>

解説

1 「ぞ・なむ・こそ」の用法

係助詞の「ぞ」「なむ」「こそ」は、強意、すなわち語の意味を強める働きをします。

強意は、とくに訳す必要はありません。あえて訳するときには、<~こそ・まことに~>などと訳します。

係り結びの法則によって、文末の語の活用形が、「ぞ」「なむ」の場合は連体形になり、「こそ」の場合は已然形になることに注意しましょう。

やまと歌は、人の心を種として、よろずの言ことの葉はとぞなれりける連体形。(古今)

<…さまざまな言葉となった(ものである)。>

忘れやし給ひにけむと、いたく思ひわびてなむはべる 連体形 。(伊勢)

<…ひどくつらく思っております。>

過ぎ別れぬること、返す返す本意ほいなくこそおぼえはべれ 已然形 。(竹取)

<…返す返すも残念に思われます。>

2 「こそ~已然形」の逆接用法

文中に係助詞「こそ」がある場合、已然形で結んで文が終わるのが原則です。

しかし、結びの已然形で文が終わらず、そこで休止してまた後に続くこともあります。

その場合の「こそ~已然形」は逆接を表し、<~けれども・~だが>と訳します(逆接用法)。

中垣なかがきこそあれ已然形、一ひとつ家やのやうなれば、望みて預かれるなり。(土佐)

<中垣はあるけれども、一軒の家のようなものなので、(お隣が)望んで管理を引き受けたのだ。>

3 「もぞ・もこそ」の懸念用法

係助詞「も」に係助詞「ぞ」「こそ」が付いた「もぞ」「もこそ」の形で、よくない事態が起こることを予測して不安になる気持ちを表します。

これを懸念けねん用法といい、<~すると困る・~したら大変だ>などと訳します。

門かどよく鎖さしてよ、雨もぞ降る連体形。(徒然)

<門をちゃんと閉めてくれ、雨が降ると困る。>

烏からすなどもこそ見つくれ 已然形 。(源氏)

<烏などが見つけたら大変だ。>

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コメント: 1
  • #1

    月牙 (月曜日, 06 11月 2023 15:54)

    懸念用法苦手

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