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係助詞(2)結びの省略・消滅

要点のまとめ

■ 結びの省略

結びの省略……結びの語が省略されて、係助詞が文の終わりにくる。

(例) 所狭きこと多くなむ。<窮屈なことが多いことである。>

※ 結びの「ある」が省略されている。

■ 結びの消滅

結びの消滅(流れ)……結びとなるはずの語に接続助詞などが付いて文が続き、結びの形にならない。

(例) たとひ耳鼻こそ切れ失すとも﹅﹅…<たとえ耳や鼻が切れてなくなったとしても…>

※ 接続助詞が付いて文が続くので、結びが消滅している。

解説

1 結びの省略

文中に係助詞があるときは、結びの語が文末にくるのが原則です(係り結びの法則)。

しかし、結びの語が省略されて、係助詞が文の終わりにくる場合もあります。これを結びの省略といいます。

結びの省略の場合には、どのような語が省略されているのかを考えたうえで、それを補って訳します。

なかなか世に抜け出でぬる人の御あたりは、所狭ところせきこと多くなむ。(源氏)

<…窮屈なことが多いことである。>

※ 係助詞「なむ」のすぐ後に、結びの「ある」が省略されていると考えることができます。

*

次のように、特定の形では、補うべき結びの語が決まっています。

補うべき結びの語

・「に」+係助詞→「あり」「あらむ」「ありけむ」の連体形または已然形

 (例)「~にや。」→「あらむ(ありけむ)」を補う。

 (例)「~にこそ。」→「あれ(あらめ・ありけめ)」を補う。

・「と」+「ぞ・なむ」→「言ふ」「思ふ」などを補う。

 (例)「~とぞ。」→「言ふ」などを補う。

2 結びの消滅

係助詞を受ける語は、連体形または已然形で結ぶのが原則です。

しかし、結びとなるはずの語に接続助詞などが付いて文が続き、結びの形にならない場合があります。これを結びの消滅(結びの流れ)といいます。

たとひ耳鼻こそ切れ失す  終止形  とも﹅﹅、命ばかりはなどか生きざらむ。(徒然)

<たとえ耳や鼻が切れてなくなったとしても、命だけはどうして助からないことがあるだろうか、いや助かるだろう。>

※ 係助詞「こそ」があるので、本来なら已然形の「切れ失すれ」で結びます。しかし、それに接続助詞「とも」が付いて文が続いているために、結びが消滅して(流れて)います。

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