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係助詞(1)係り結びの法則

要点のまとめ

■ 係助詞とは

係かかり助詞……いろいろな語に付いて意味を添え、文末の述語に影響を及ぼす助詞。「は・も・ぞ・なむ・や・か・こそ」

■ 係り結びの法則

係かかり結むすびの法則……文中に係助詞がある場合に、終止形以外の活用形で文末を結ぶこと。

・「ぞ・なむ・や・か」→結びは連体形

(例) ただ水の泡にぞ似たりける連体。<ちょうど水の泡に似ていることよ。>

・「こそ」→結びは已然形

(例) 男はこの女をこそ得め已然と思ふ。<男は、「この女を妻にしたい。」と思う。>

解説

1 係助詞とは

係助詞(「かかりじょし」または「けいじょし」)は、いろいろな語に付いて意味を添えるとともに、文末の述語に影響を及ぼす助詞をいいます。

係助詞は、格助詞や副助詞に似ていますが、働きの違いからそれらとは区別されています。とくに後述する係り結びの法則があることが係助詞の特徴です。

係助詞に分類される語は、「は」「も」「ぞ」「なむ」「や」「か」「こそ」です。

これらのうち、「は」と「も」には、係り結びがありません。しかし、どちらも文全体に影響を及ぼす働きをするので、ともに係助詞に分類されています。

アドバイス

係助詞には、係り結びがある「ぞ」「なむ」「や」「か」「こそ」と、係り結びのない「は」「も」とがあります。全部覚えましょう。

とくに「は」「も」は、格助詞と考えがちですが、そうではなく係助詞であることに注意しましまょう。

2 係り結びの法則

係かかり結むすびの法則とは、文中に係助詞がある場合に、終止形以外の活用形で文末を結ぶことをいいます。文中の係助詞が「係り」で、文末の活用語が「結び」です。

係りになるのは、係助詞のうち「ぞ」「なむ」「や」「か」「こそ」の五つです。

「ぞ」「なむ」「や」「か」の結びは連体形になり、「こそ」の結びは已然形になります。

朝に死に夕べに生まるるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける。(方丈)

<…ちょうど水の泡に似ていることよ。>

※ 文末の「ける」は、助動詞「けり」の連体形です。

男はこの女をこそ得めと思ふ。(伊勢)

<男は、「この女を妻にしたい。」と思う。>

※ 引用文の文末「得め」は、助動詞「む」の已然形です。

「は」「も」には、係り結びはなく、文末は終止形になります。

係り結びの法則は、古文の基本的な文法事項です。係りになる助詞とそれに対応する結びの活用形をしっかりと覚えましょう。

【表】係り結びの法則

係り 結び 意味
ぞ
なむ
(なん)
連体形 強意
や
か
疑問<~か>
反語<~か、いや~ない>
こそ 已然形 強意

* 強意は、訳出する必要がありません。あえて訳するときは、<~こそ・まことに~>などと訳します。

アドバイス

「結び」を抜き出すときは、文末の連体形または已然形の単語を一つだけ抜き出します。単語の一部や2語以上を抜き出してしまわないように注意しましょう。

また、上の例文「男はこの女をこそ得めと思ふ。」のように、係り結びが引用文の中で使われているときは、引用文の末尾が結びになることにも注意しましょう。

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