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「る・らる」

要点のまとめ

■ 「る・らる」の意味

① 受身うけみ<~れる・~られる>

(例) 物に襲はるる心地して <物の怪に襲われる気持ちがして>

② 可能<~ことができる>

(例) つゆまどろまれず <まったく眠ることができず>

③ 自発じはつ<自然と~れる・思わず~てしまう>

(例) 都のみぞ思ひやらるる。<都のことばかりが自然と思い出される。>

④ 尊敬<~なさる・お~になる>

(例) 家司などに仰せらる。<家司などに命じなさる。>

■ 「る・らる」の活用

「る・らる」:下二段型

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
れ れ れ る るる るれ れよ
らる られ られ らる らるる らるれ られよ

※ 命令形に可能・自発の意味はない。

■ 「る・らる」の接続

「る」 :四段・ナ変・ラ変動詞の未然形に付く。

「らる」:上以外の動詞の未然形に付く。

解説

1 「る・らる」の意味

「る」「らる」には、受身・可能・自発・尊敬の四つの意味があります。

(1) 受身うけみ

受身は、他から動作を受けることで、<~れる・~られる>と訳します。

受身の「る」「らる」の前には、「(誰々・何々)に」という語句があったり、補うことができたりします。

物に襲おそはるる心地して、驚おどろき給たまへれば、火も消えにけり。(源氏)

<物の怪けに襲われるような気持ちがして…>

問いつめられて、え答へずなり侍はべりつ。(徒然)

<(子供に)問い詰められて…>

(2) 可能

可能は、<~ことができる>と訳します。

可能の「る」「らる」は、中古(平安時代)までは、かならず打消(反語はんご)を表す語とともに用いられます。

知らぬ人の中にうち臥ふして、つゆまどろまれず (更級)

<…まったく眠ることができず>

変りゆくかたちありさま、目も当てられぬこと多かり。(方丈)

<…目も当てられないことが多くある。>

もっとも、時代が下って中世(鎌倉時代=『徒然草』)になると、肯定表現のままで可能を表すようになります。

家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。(徒然)

<…冬は、どんな所にでも住むことができる。>

(3) 自発じはつ

自発は、動作が自然に起こる・無意識にそうなってしまうことで、<自然に~(ら)れる・思わず~てしまう>などと訳します。

自発の「る」「らる」は、心情や知覚を表す動詞に付きます(「思ふ」「嘆く」「見る」「眺ながむ」など)。

今日けふは都のみぞ思ひやらるる。(土佐)

<今日は、都のことばかりが自然と思い出される。>

つれづれと空ぞ見らるる思ふ人天降あまくだり来こむものならなくに(和泉)

<ものさびしくて思わず空を眺めてしまう…>

(4) 尊敬

尊敬は、<~なさる・お~になる>と訳します。

とくに主語が貴人きじん(身分の高い人)であるときは、「る」「らる」は尊敬であることが多くなります。

御門みかど、なほめでたく思おぼし召さるる事せき止めがたし。(竹取)

<帝は、やはり(かぐや姫を)すばらしくお思いになることを抑えることができない。>

繕つくろふべき所、所の預かり、今加へたる家司けいしなどに仰おほせらる。(源氏)

<…(源氏の君は)新たに任命した家司などに命じなさる。>

アドバイス

「る」「らる」の四つの意味には、それぞれ次のような特徴があります。四つの意味を見分ける際の手がかりにしましょう。

① 受身……前に「(誰々・何々)に」という語句があったり補えたりする。

② 可能……打消(反語)の語をともなう。

③ 自発……心情や知覚を表す動詞に付くことが多い。

④ 尊敬……主語が貴人である。

アドバイス

「れ給たまふ」「られ給ふ」の「れ」「られ」(それぞれ「る」「らる」の連用形)は、受身か自発であり、尊敬ではないことに注意してください。

この点は、「せ給ふ」「させ給ふ」が二重尊敬になりうることと対照的です。

なお、「仰おほせらる」の「らる」は、かならず尊敬の意味になります。

2 「る・らる」の活用

「る」と「らる」は、どちらも動詞の下二段活用と同じ活用をします(下二段型)。➡動詞(4)下二段活用

【表】「る・らる」の活用表

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
る れ れ る るる るれ れよ
らる られ られ らる らるる らるれ られよ

なお、命令形が可能または自発の意味で用いられることはありません。

3 「る・らる」の接続

「る」と「らる」は、どちらも動詞の未然形に付きます。

しかし、接続する動詞の種類が次のように異なります。

「る・らる」の接続

「る」の接続 :四段動詞・ナ変動詞・ラ変動詞の未然形に付く。

「らる」の接続:上以外の動詞の未然形に付く。

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準備中

コメント

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コメント: 15
  • #1

    まりも (木曜日, 28 6月 2018 05:04)

    文法難しい

  • #2

    かさはら (日曜日, 18 11月 2018 15:38)

    基本形れではなくるです。

  • #3

    桐蔭学園の某生徒 (火曜日, 15 1月 2019 20:04)

    わかりやすい!
    マジ神!
    製作者管理人ありがとう!

  • #4

    ち (日曜日, 05 4月 2020 15:11)

    わかりやすいです助動詞のサイト全部見ます!

  • #5

    まいまい (水曜日, 08 7月 2020 22:21)

    さいこうですわぁ

  • #6

    十一 (土曜日, 09 1月 2021 10:20)

    助かった

  • #7

    Bae (日曜日, 14 3月 2021 11:45)

    いつもお世話になっております。質問させていただきます。

    ”20日…の梗槪を測定せるが22日監理が来て…”の文で”測定せる”の解釈はどうなりますか?教えてくださいませんか?

  • #8

    斑鳩 (月曜日, 20 9月 2021 15:31)

    助かる!!!!!!!

  • #9

    不破茶茶 (土曜日, 18 12月 2021 11:48)

    本当に助かった!ありがとね~(だが難しい(泣

  • #10

    あ (水曜日, 27 4月 2022 21:04)

    助かりました

  • #11

    パンタロン (金曜日, 03 6月 2022 10:11)

    学校のオンライン授業で教科書なくて困ってたんですけど、
    5分でわかって助かりました!

  • #12

    んあ (火曜日, 13 9月 2022 20:29)

    已然形に変形するのはどんな場合なんですか?

  • #13

    ハードエッジ (月曜日, 19 12月 2022 13:02)

    「今日は都のみぞ思ひやらるる。」と、
    「今日は都のみぞ思ひやらる。」で、
    意味の違いはありますか?

    また、文法的に、
    どちらかは誤用でしょうか?
    共に許容範囲でしょうか?

  • #14

    坂間美希 (日曜日, 15 1月 2023 18:21)

    思いやらるる。
    信長討たるる。
    どっちも、るるは連体形?終止するのに?

  • #15

    牧さん (金曜日, 01 11月 2024 20:41)

    神すぎ!!

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