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「なり・たり(断定)」

要点のまとめ

■ 「なり・たり」の意味

(1) 「なり」の意味

① 断定<~だ・~である>

(例) 女もしてみむとてするなり。<女(のわたし)もしてみようと思ってするのである。>

② 存在<~にある>

(例) 春日なる三笠の山に <春日にある三笠山に>

(2) 「たり」の意味

・断定<~だ・~である>

(例) 平家の家人たりし物もあり。<平家の家来であった者もいる。>

■ 「なり・たり」の活用

「なり・たり」:形容動詞型

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
なり なら なり
に
なり なる なれ なれ
たり たら たり
と
たり たる たれ たれ

■ 「なり・たり」の接続

「なり」も「たり」も、体言(名詞)に付く。

「なり」は、活用語の連体形にも付く。

解説

1 「なり・たり」の意味

「なり」には、《伝聞・推定》の助動詞と《断定》の助動詞の2種類があります。

また、「たり」にも、《完了》の助動詞と《断定》の助動詞の2種類があります。

ここで取り上げるのは、《断定》の「なり」「たり」です。

(1) 「なり」の意味

断定の「なり」は、<~だ・~である>と訳します。

男もすなる日記にきといふものを、女もしてみむとてするなり。(土佐)

<…女(のわたし)もしてみようと思ってするのである。>

断定の「なり」は、存在を表すこともあり、その場合は<~にある>と訳します。

天の原ふりさけ見れば春日かすがなる三笠みかさの山に出いでし月かも(古今)

<…春日にある三笠山に…>

(2) 「たり」の意味

断定の「たり」は、<~だ・~である>と訳します。

平家の家人けにんたりし物もあり。(平家)

<平家の家来であった者もいる。>

もっと知る

断定の「なり」は「に格助詞+ありラ変動詞」が変化した形であり、断定の「たり」は「と格助詞+ありラ変動詞」が変化した形であるとされています。

「なり」は和文体や和歌で用いられたのに対して、「たり」は漢文訓読体で用いられました。

2 「なり・たり」の活用

断定の「なり」は形容動詞のナリ活用と同じ活用をし、断定の「たり」は形容動詞のタリ活用と同じ活用をします(形容動詞型)。

【表】「なり・たり(断定)」の活用表

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
なり なら なり
に
なり なる なれ なれ
たり たら たり
と
たり たる たれ たれ

3 「なり・たり」の接続

断定の「なり」「たり」は、どちらも体言(名詞)に付きます。

「なり」の場合は、さらに活用語の連体形にも付きます。

アドバイス

文中の「なり」が《伝聞・推定》か《断定》かを見分けるには、その接続に注目しましょう。

「なり」が終止形(ラ変型活用語は連体形)に接続している場合は《伝聞・推定》であり、体言または連体形に接続している場合は《断定》になります。

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