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「つ・ぬ」

要点のまとめ

■ 「つ・ぬ」の意味

① 完了(~た・~てしまう・~てしまった)

「つ」は意志的な動作について、「ぬ」は自然的な状態について用いる。

② 強意(きっと~・かならず~)

■ 「つ・ぬ」の活用

(1) 「つ」の活用:下二段型

未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
て て つ つる つれ てよ

(2) 「ぬ」の活用:ナ変型

未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
な に ぬ ぬる ぬれ ね

■ 「つ・ぬ」の接続

「つ・ぬ」は、活用語の連用形に付く。

解説

1 意味

(1) 完了

「つ」と「ぬ」は、どちらも動作・作用の完了をあらわす助動詞で、<~た・~てしまう・~てしまった>と訳します。ただし、両者には微妙な意味の違いがあります。

「つ」は、他動詞に付くことが多く、意志的に動作(状態)を完結させるというニュアンスがあります。

【例】国に立ち遅れたる人々待つとて、そこに日を暮らしつ。(更級)

<――、そこで一日を過ごした。>

これに対して、「ぬ」は、自動詞に付くことが多く、自然的に状態(動作)が実現するというニュアンスがあります。

【例】秋は来きぬ紅葉は宿に降りしきぬ道ふみわけてとふ人はなし (古今)

< 秋が来た。紅葉は庭いっぱいに散ってしまった。――>

(2) 強意きょうい

「つ」「ぬ」は、直後に「む」「らむ」「べし」などの推量の助動詞をともなう場合、それらの意味を強める働きをします。これを強意と呼びます(確述かくじゅつともいいます)。

現代語に訳すときは、「む」「べし」などがあらわす推量・意志などの意味を強調するようにします。具体的には、<きっと~・かならず~>などと副詞を補ったり、<~にちがいない・~てしまおう>などと訳したりします。

梓弓あづさゆみおしてはる雨さめ今日けふ降りぬ明日さへ降らば若菜わかな摘みてむ (古今)

< ――明日も降れば、きっと若菜を摘めるだろう。>

潮満ちぬ。風も吹きぬべし。(土佐)

<潮が満ちた。風もきっと吹くだろう。>

古文のコツ★強意の「つ・ぬ」

「つ・ぬ」の直後に推量の助動詞「む・らむ・べし」などが付いて、「てむ・なむ・つらむ・ぬらむ・つべし・ぬべし」などの形になる場合、「つ・ぬ」は強意の意味。

もっと知る◆「つ・ぬ」の並列の意味

「つ」「ぬ」の中世(鎌倉時代~)以後の用法として、「~つ~つ」「~ぬ~ぬ」の形で並列(~たり~たり)をあらわすことがあります。この場合の「つ」「ぬ」は終止形です。

○ 僧都そうづ乗っては降りつ、降りては乗つつ (平家)

<僧都は乗っては降りたり、降りては乗ったりして>

○ 泣きぬ笑ひぬぞしたまひける。(平家)

<泣いたり笑ったりなさった。>

2 活用

(1) 「つ」の活用―下二段型

「つ」は、動詞の下二段活用と同じような活用をします。

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
つ て て つ つる つれ てよ

(2) 「ぬ」の活用―ナ変型

「ぬ」は、動詞のナ変と同じような活用をします。

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
ぬ な に ぬ ぬる ぬれ ね

3 接続

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